2013.05.31 のニュース
流通議連が価格差問題に言及-参議院選挙前に解決に向け努力-
自民党石油流通問題議員連盟は23日、全石連の要望を受け入れた形で「長年の懸案であり、未解決のままとなっている業転玉と系列玉の価格差の解消の実現に向けて最大限努力する」との中間報告をまとめた。
この中で、①価格差の解消のため業転の実態の徹底的な解明を行なう、②SSを「公共インフラ」としてエネルギー基本計画の中に明確に位置づける、③過疎地など地域の実情に応じた安定供給策の実現をはかる、④中核SSの整備など販売業界への支援策を強化するなどの施策を打ち出している。参議院選挙が7月に実施となるため、選挙協力への交換条件として提示したものである。
販売業界では、業転と系列仕切価格との価格差が拡大しているため、その縮小を元売に要望しているが、話し合いでは解決できないため、国会議員に要請していた。この価格差、業転安の是正、商標問題などは、長年の懸案事項であるが、商取引上の問題であることから元売との間では調整が難しい。そのため公正取引委員会、資源エネルギー庁に要望していたが、これまで改善されず今日に及んでいる。今回は、自民党流通問題議連を通じて、販売業界の要望を組み入れた形となるが、実際に販売業者サイドの要望を元売が受け入れることは難しいとみられる。
現在のガソリン販売価格をみるとHC、量販店が136円~138円/㍑となっており、石油情報センターの調査価格では全国平均152円、その差は16円となる。都心部の掛売価格に比べると20円の価格差が存在する。
その背景にはHCなどは安い業転玉を購入して、さらに低マージンで販売しており、一方、特約店は高い仕切価格で購入して、採算限界のマージンを加算して販売しているためである。仕切価格と業転市況との価格差は通常5円~6円である。この価格差は販売業者の実態調査でも証明されているが、通常の取引きにおいて価格差は容認されている。
安い業転玉を購入すればよいとの反論もあるが、元売は商標権を維持するため業転の購入を拒否する。元売としては、ブランドマークの下で品質を保証しているため、業転玉を購入すれば、アーク(系列)を外すとの対抗策に出る。そのため業転を購入した場合、ノンブランドで経営することになるが、販売業者も系列傘下での経営にメリットがあり、業転玉に手を出せない実態である。
この現状に対し、仕切価格と業転市況との価格差を圧縮すべきとの要望が常に行なわれてきた。仕切価格が月決め制から週決めに改定された際には、先物、業転市況にリンクした値決めとなっており、その価格差は1円~2円であったが、この方式では元売がマージンを確保できず経営が悪化したため、その後、新しくブランド料(販売経費)を加算した新・新体系による値決めを打ち出した。この結果、価格差が4円~5円に拡大したことで、元売はマージンを確保するこどができ、石油事業の決算は利益計上となっている。
一方、販売業界は、小売価格での価格差が拡大することで、安値攻勢のHC、量販店に対抗できず、経営難となり、廃業、倒産が後を絶たない。今後についても悲観的な見通しが強くなっているため、今回、政治ベースでの支援を要請した。