2013.06.03 のニュース
円安でコスト増も市況は下落-マージンは減少で業績悪化-
現在、原油価格(ドバイ)は100ドル/バーレル、為替は100円/ドルで推移している。とくに為替は昨年末の安倍政権の発足を機に円高が進行している。一方、国内の石油製品市況は、販売減から需給が緩和していることで下落しており、元売、販売業者ともに業績は悪化している。
本来ならば円安によるコスト増の転嫁に取り組む値上げの時期であるが、逆に値下がりとなっている。足元の価格形成は、原油価格、為替のコスト変動を、即、国内の市況に反映させるため、週決め制による市場連動制が実施されている。だが、実際のコストとなる現在処理している原油は、1ヵ月以上も前のものであり、現在の原油価格に比べると高値である。そのため、下落した市況から試算すると製品マージンは大幅に減少し、精製費もカバーできない水準となっており、コスト割れとなっている。原油の値下がり局面では、輸入によるタイムラグの影響を受けることが通例であるが、原油CIFに石油税をプラスしたコストと業転価格を比べると、その差が3円~4円/リットルとなっており、マージンは圧縮されている。
原油価格は、今年1月の平均が108ドル/バーレル、2月は111ドルでピークとなり、その後は下落して3月が106ドル、4月が102ドルで推移、5月は100ドル程度と、2月の高値からは10ドルの値下がりとなっている。一方、為替は昨年10月が80円/ドルであったが、今年1月が90円に、4月には99円、足元は100円と一気に円安が進行している。
原油の高値を円安で吸収しているが、円安によるコスト増の回収には値上げが必要となる。だが、予想外の減販により、減産で対応しても需給が緩和していることで、業転市況は低迷している。そのため5月に入ってコスト高が続いているが、ガソリンの仕切価格は、据え置きが続いている。ようやく25日から小幅な値上げとなったが、末端市況は、まだ値下がりとなっている。
石油情報センターの調査価格(27日)は全国平均151円70銭で20銭の値下がりとなり、12週連続の値下がりとなっている。四捨五入でみると152円で3週連続横ばいとなっている。調査結果では、「12週の連続値下がり」が目立っているが、堅調に値上がりしている地区もあり、その数値に過度に反応することは問題である。ただ、市況実態からみると仕切価格の値上がり幅が2円~3円とならないことには、下げ止めから値上がりとならないようである。
今後の原油価格は100ドル相場で推移しそうである。産油国も財政面からみて容認できる水準であり、100ドル割れが続くと、減産で対応するようである。4月の平均は102ドルとなったが、石油各社の平成25年度の業績予想では原油価格105ドル/バーレル、為替95円/ドル(JX日鉱日石エネルギー、出光興産)、コスモが100ドル、100円を前提としており、これまでのところ、予想通りの水準で推移している。
しかし、このままの水準で推移することはない。原油価格の見通しは、地政学リスクと世界の景気動向が綱引きを行なっており、常に流動的で予測は困難である。今後はアメリカ、カナダなど、シェールガス革命による増産でガスが供給増となり、その影響で原油価格が値下がりするとの見方が多いが、これも不透明である。