2013.06.06 のニュース
業転との価格差問題を重視-全石連、自民党との連携強化で打開-
全石連は平成25年度通常総会を13日に札幌パークホテルで開催する。スローガンは「組織活動を通じて経営を改革しよう」。その具体策は、①市場の変化に対応したSS経営に取り組もう、②公平で透明な取引環境の実現を目指そう、③災害対応・安心安全のSSネットワークを強化しようとなっており、事業計画案が決まっている。
石油販売業界を取り巻く環境は、人口の減少、省燃費車の普及によって需要の減少が目立っている。平成24年度のガソリン販売は1.3%減、灯油も3.2%減、軽油は復興需要から1.7%増となっている。うち1月~3月でみると、ガソリンは4.5%の大幅な減少となるなど、高値によるユーザーの節約志向の高まり、低燃費車の普及から確実に減少している。現在、需給バランスの崩れから業転市況と系列仕切価格との価格差の拡大、マージンの低下に拍車がかかりSS経営が悪化しているため、とくに価格差問題について重点的に取り組むこととなった。
一方、元売の業転連動の新仕切体系の導入以降、業転との価格差の固定化、さらに週中改定の常態化などからコスト転嫁が難しくなり経営悪化が深刻化している。業転との価格差の拡大で中小系列業者とノンブランドSSとの価格競争では、系列業者が劣勢となっている。
このような系列業者の不利な立場を改善し、阻害要因を排除するため、自民党の議員で構成する「石油流通問題議員連盟」が3月に発足、新たな政治支援体制をスタートさせた。自民党政権の発足を機に、全石連との協力関係が復活したもので、7月の参議院選挙を前に選挙支援と交換条件で、販売業界の改善要望を「議員連盟」が汲み取り、運動を展開することになった。
議員連盟の傘下に、①業転問題、②廉売規制、③SS支援対策、④年金基金の4プロジェクトチームを発足させ、5月23日には、中間報告をまとめた。参議院選挙の前に、解決に向けて最大限努力するとして、①未解決となっている業転玉と系列玉の価格差の解消を実現する、②価格差解消のため業転流通を徹底的に解明する、③SSを「公共インフラ」としてエネルギー基本計画の中に位置づける、④過疎地などの地域の実情に応じた安定供給策の実現を図るなどの方針が打ち出された。
これらの方針は、過去においても要望していた問題点であり、改善策がどこまで実現できるか期待感が高まっている。しかし、業転と系列仕切との価格差の是正問題は、あくまでも商取引きの問題であり、元売の対応次第となる。販売業者が納得のゆく価格差を縮小する新しい価格体系を元売が打ち出すことができるか、難しいところである。これまでも試行錯誤したが解決できず、現在は需給バランスが緩和状況にあるため、その改善が優先される。
価格差問題は独占禁止法の運用ともかかわり、資源エネルギー庁などの行政が介入することが難しく、政治が側面から支援するにも限界があるようだ。また、価格差問題の背景にある不当廉売については、業者からの申告に対して、結果的には「注意」止まりであり、改善は進んでおらず、新しい廉売規制の創設の要望に関しては実現に時間がかり、その間にもSS減少が加速する。