日刊ニュース

2013.06.07 のニュース

仕切週中改定に反対多いが-市況実態対応で容認の見方も-

 元売各社の仕切価格改定は毎週土曜日からの実施となっているが、JX日鉱日石エネルギーは週中(水曜日)での改定を実施しており、週2回の改定となっている。この週中の価格改定について、全石連の平成25年度の事業計画案では「元売の業転連動の新仕切体系を導入以降、業転格差が固定化し、系列SSはPB(プライベート・ブランド)SSに対し価格競争で劣勢となっている上に、直近では、特定の元売間で仕切価格の説定を巡り週半ばの改定が常態化したことから、販売業界はコスト転嫁に苦慮し経営の悪化が深刻化している」と、SS経営の安定化に悪影響を与えていると指摘している。
 この週中の改定は、市況実態に対応しているものであり。販売業界からは、市況対策が混迷するとして停止を求める意見が多い。JXエネルギーの週中の改定(水曜日)は、原則値下げとなり、次いで土曜日に値上げすることで相殺する価格決定方式となっている。最近の例でみると、週中(5月29日)で20銭/リットル値下げしたが、6月1日(土曜日)からは90銭の値上げを実施。相殺すると70銭の値上げとなり、昭和シェル石油の70銭値上げと同額となる。このとき、出光興産、EMGマーケティングの仕切価格は据え置きとなっており、改定幅では各社間でのバラツキが生じているが、販売価格では、ほぼ足並みが揃うことになる。
 週中の改定は、値上げはなく、原則値下げ、もしくは据え置きとなる。
これは、週中で先行値上げした場合、ユーザー周辺の市況に比べて高値となるためユーザーが他社に流れ、シェアを落とすためである。コストが上昇している場合は改定を見送り、土曜日の改定で値上げとなる。
 この方式の場合、市況の値下がり局面では水曜日に仕切値下げとなるため、販売業者は水曜日から金曜日の間に仕入れ、土曜日からの値上げに合わせ販売価格が値上がりすることでマージンを確保できる。
 だが、実態としては、販売業者がコスト増の転嫁で市況対策に取り組む矢先に、仕切価格が値下げとなり、市況の構築に水を差される。水曜日に値下げして、直後の土曜日には値上げとなるとユーザー転嫁が間に合わず、販売業者が仕切価格の値上げ分を負担することになる。
 このような状況に対し、上げ下げを繰り返す価格改定は末端市況が混迷するとの批判が出ている。だが一方で、市況実態に応じた価格改定は、メリットがあると容認している系列業者もいるため、廃止を訴える動きとはなっていない。
 業転市況や仕切価格は、市況実態に沿った価格改定が求められる。本来であれば、東京商品取引所で先物市況が形成されおり、その相場を活用することで適正な価格決定が行なわれることになるが、実際には市況実態と乖離しており、流動性を欠くなどの理由で活用に至っていない。
 これまでも価格決定方式を巡っては、原油価格と為替などのコスト加算を行なう月決め方式から、業転、先物市況に連動した週決め方式、また、業転市況にブランド料などを加算する方式、さらに、原油価格、他社の動向など総合的な判断による値決め方式などの変遷を経て今日に至っている。今後は改善は図られ、元売、販売業者の双方が納得するまで、試行錯誤が続くものとみられる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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