日刊ニュース

2013.06.10 のニュース

需給調整急ぎ、マージン確保-大幅な追加減産、設備処理の前倒しも-

 石油各社の4月~6月の業績は大幅に悪化しており、厳しい状況にある。原油価格は100ドル/バーレルの高値を維持しており、為替も100円/ドル前後の円安で推移、コスト増となっている。本来ならば仕切価格の値上げ局面であるが、需給の緩和で業転市況が低迷しており、仕切価格は値下げとなるなど、コストを回収できず、赤字で逆ザヤとなっている。業転価格と製品コストを比較すると精製費分しかカバーできず、販売経費分が赤字となる状況にある。
 その結果、業転市況と系列仕切価格との価格差が拡大しており、系列販売業者から価格差の是正を求める意見が強くなっている。元売も系列仕切分では、わずかにマージンを確保できる水準にあるが、需給状況を改善しない限り、赤字が拡大する深刻な状況になっている。
 昨年4月~6月は、原油価格が120ドルから90ドルへと急落したため、国内の市況も先取りして下落、在庫評価損が発生したため実質赤字となったが、マージン幅の減少で比較すると、昨年の状況よりも今年の4月~6月の方が深刻である。
 このまま需給が緩和で推移すると、7月~9月も業績を挽回することが難しく、上期、通期も赤字が見込まれてくる。業績を回復するには、①大幅な追加減産の実施、②輸出の拡大による供給増の解消、③高度化法による来年3月末の設備処理を前倒し実施、などの大胆な方針の転換が求められる。
 現在の需給緩和に対し各社とも減産で対応しているが、予想以上の販売減少により供給増となっている。商社サイドも増販を見込んで輸入で対応したが、2月~3月でガソリン、灯油販売などが大幅に減少した。前年が閏年であったことも影響するが、これを差し引いても大幅な落ち込みとなっている。ガソリンの2月が6.3%減、3月が4.5%減、灯油は2月が13%減、3月が22%の大幅減となった。灯油は小売価格が100円/リットル以上の高値によるユーザーの買い控えが浸透したものとみられる。
 高度化法の期限切れを前にして、駆け込み増産で対応しているとの見方もあるが、予想外の減販によって需給バランスが崩れた状況であり、このような状況下、石油業界に対しては秩序を欠くことなく、自覚ある行動が求められている。
 今後は、需給をタイトにする手段を模索しながら、業転市況、仕切価格の値上げに取り組むこととなる。6月は定期修理が集中する時期であり、需給を絞ることが可能となるため、需給調整の絶好のチャンスとなる。また、7月はガソリンの需要期となるため、引き続き減産体制で対応すべきである。夏場に入ると、ガソリンは需給もバランスを保つため、市況の立て直しに期待できる。
6月の不需要期には需給バランスが崩れるが、ここを乗り切り7月のガソリン需要期に向けて、新しい展望が開かれることが期待されている。
 原油価格(ドバイ)は100ドル/バーレルの高止まり、為替は100円/ドルの円安で推移しており、円建てベースではコスト高が続いている。ここにきて原油価格は小幅な下げとなっているが、今後も原油価格は100ドル前後で安定して推移することが見込まれているため、市況の立て直しによるマージン確保が喫緊の課題となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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