2013.06.13 のニュース
喫緊の課題は業転価格差問題-政治介入で改善策の誘導可能か-
全石連、油政連が支援する自民党の石油流通議員連盟(会長は野田毅税制調査会長)は、参議院選挙を前に石油販売業界に対して支援に取組む動きをみせている。5月23日に7項目から成る中間報告をまとめ、国会が閉会になる前日の25日には本報告をとりまとめるために、全国から石商役員が動員される。
石油流通議連は、これまで自民党内で設置されていた「一木会」(ベテラン議員)と「ガソリンスタンドを考える会」(若手議員)を合併したもので、安倍政権の発足を機に新体制でスタートした。傘下に4つのプロジェクトチームを設置、具体的な対策を展開することになっている。参院選を控えていることで、販売業界から要望を提示するチャンスとなっているが、政治がどこまで介入できるかは未知数である。
中間報告での7項目は、①未解決のままとなっている業転玉と系列玉の価格差の解消の実現、②価格差の解消のための業転流通実態の徹底的な解明、③これ以上の石油増税の断固反対(タツクス・オン・タックスの廃止)、④SSを「公共」インフラとしてエネルギー基本計画の中に明確に位置付ける、⑤過疎地などの安定供給策の実現、⑥中核SSの整備など販売業界への支援策の拡充、⑦年金基金問題の円滑なる解決を掲げている。
うち喫緊の課題は、業転市況と系列仕入との価格差問題である。その価格差の解消のため業転流通の実態を解明するとしている。この問題は、過去にも全石連が元売、公正取引委員会、経済産業省などに対して改善要望を再三行なっていたが、解決には至っていない。自由化の推進により法規制が緩和されているため、価格政策を誘導することは難しい。
仕切価格が月決め制から週決め制に移行した時点では、その価格差は1円~2円/リットルとなり、中小業者と大手業者との仕入価格差も縮小した。数量割引きも縮小され、公明で透明な価格体系が実施となったと中小業者からは歓迎された。だが、元売のマージンが減少、業績が悪化したことから、新たにブランド料を加算する価格決定方式へと変更となった。その結果、価格差は5円~6円に拡大した。
このところの販売減による需給緩和で業転市況が下落したことから、価格差は8円程度と、さらに拡大しており、販売業者からは価格差の是正を求める要望が強くなっている。商取引の問題であるため、元売と販売業者間による個別交渉での解決が筋であるが、販売業者が不利な立場であるため、石商、全石連を通じての要望となっている。これまでの経緯からみても、調整が難しく、政治の力を借りて突破口を開くことを狙っている。
今回、自民党の石油流通議連が仲介役として、どこまで有効な改善策が打ち出されるかが注目される。このような状況下、元売にも週決め制の中身を検討する気運は出ている。また、タブー視されている業転市場の実態を解明するとしているが、需給調整の場として活用している商社などとの不透明な取引を明らかにすることは困難である。業転玉は20%~30%が市場に出回っており、供給ルートが安定しているため、系列SSに比べ、PBSS、HCのシェアが増加している実態となっている。