日刊ニュース

2013.06.19 のニュース

業転との価格差は政治問題に-元売の自主的対応を期待ヘ-

 全石連は、平成25年度事業計画のなかで喫緊の課題としている「系列玉と業転玉との価格差の解消」について、油政連と共同で自民党石油流通問題議員連盟(会長は野田毅党税制調査会長)に働きかけ、問題を解決するため行動することを13日に開催した札幌総会で決定した。
 一方、自民党も参院選を前に石油販売業界に対して支援策を打ち出すことで、選挙協力を求めており、国会の閉会を前に25日には流通議連が報告書をまとめることになっている。すでに5月23日には7項目から成る中間報告をまとめており、業転問題については、元売から19日、ヒアリングを行なうことにしている。
 流通議連は、これまで自民党内に設置されていた「一木会」(ベテラン議員)と「ガソリンスタンドを考える会」(若手議員)を一本化したもので、安倍政権の発足を機に新体制で3月7日に設立されている。傘下に4つのプロジェクトチームを設置、具体的な運動を展開する。参院選(7月21日予定)を控え、販売業界にとっては要望を提示するチャンスとなっている。
 すでに中間報告では、①未解決なままとなっている業転玉と系列玉の価格差の解消を実現する、②価格差の解消のための業転流通実態の徹底的な解明を行なう、③SSを公共インフラとしてエネルギー基本計画の中に明確に位置付ける、④過疎地などの安定供給策を実現する、⑤中核SSの整備など販売業界の支援策を拡充するなど、最重点政策を打ち出しており、全石連の要望を受け入れた形となっている。
 業転と系列との価格差の解消のために業転流通の実態を解明するとしているが、公正取引委員会では、すでに「SSの流通実態調査」を実施しており、近く調査結果が公表される。この報告書の中で現在の週決めによる新体系の実態が明らかにされるが、この結果を踏まえて公取委が、どのような判断、考え方を示すか注目される。
 系列と業転との価格差は、5円~6円/リットル存在することが石商サイドの調査で把握されており、ブランド料の加算を機に拡大傾向となっている。さらに、このところの需給緩和による業転安のため、その価格差は拡大している。
 総会後の懇親会では、国会議員からも「系列業者が高い価格で仕入、系列外の業者が安い価格で購入できることは不合理であり、是正すべきである」と問題提起されている。価格差の実態は、系列業者でも業転を扱っているケースが多いため、よく知られているが、元売が業転市場に玉を放出している実態が果たしてどこまで明らかにされることか。
 業転玉の数量、流通の規模、価格差などは、その時点の需給状況によって大きく違うが、実態調査の結果を受けて、価格差解消のための方策を打ち出すことができるかが焦点となる。だが、実際には公取委、資源エネルギー庁が価格介入できないため、最終的には、元売の自主的な対応に期待することになり、元売の販売姿勢が問われることとなる。
 公取委による調査の結果は、資料としての価値は認められるが、業転の定義も難しく、業転を扱っている元売自体に対して自粛を求めるまでが限界であり、現状では法規制、運用面での強化は難しい。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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