日刊ニュース

2013.06.24 のニュース

ガソリン1%減の見通しも-実需に見合った生産対応を-

 平成25年度のガソリン需要は5587万キロリットルとなり24年度の5645万キロリットルに比べ1%減の見通しとなった。向こう5年間は年率1.7%減を見込み、29年度は5174万キロリットルとなり、全体では474万キロリットル減(8.4%減)となる。軽油25年度の見通しは同じく1%減となり、燃料油計では0.6%減(電力用C重油を除く)となった。
 ガソリン販売、今年1月~3月が4%強の減販、24年度が1.3%減とマイナスとなっているため、25年度を1%減の見通しとしたことは、景気回復を織り込んだものとなり、減少幅を抑えた見通しとなっている。景気が回復し、猛暑ともなればプラスも期待されるため、1%減は妥当な数字となる。
 このガソリン需要見通しは、自動車メーカーから新車販売台数、普通・小型車の保有台数、燃費改善などの状況などをヒアリング、ユーザー志向を調査して積み上げたもので、価格変動効果(上げ、下げ)、消費税の増税は考慮していない。
 今後も燃費の改善、人口の減少、少子高齢化による自動車の保有台数の微減、走行距離などの減少傾向が、それぞれ継続するとして、5年間では年率1.7%減を見通しているが、22年度見通しの年率3.2%減に比べると、減少幅は低くなっている。HV車の普及は織り込んでいるが、EV(電気自動車)、燃料電池車の本格的な普及には時間もかかるため、今回の見通しにはカウントしていない。今後も需要減が続くが、減少傾向がいつ止まるかは未知数である。
 これらの見通しは、元売各社が販売、供給計画策定に際して、参考資料として活用することになる。ガソリン需要の見通しは1%減となるが、各社の計画ではこれを上回る販売計画を作成するケースが多い。1%減でなく増販を見込んで商戦に臨むことになるが、実需が1%減より落ち込むと供給増となる。まさにこのところの状況がそうであり、需給緩和による供給増から市況が急落して混迷している。そのため実需に見合った生産が求められる。
 しかし、実需に見合った生産との理屈は分かっていても、実需が落ち込んだ際に、直ちに供給・生産計画を改定することは難しく、対応が遅れる間に需給バランスが崩れることとなる。直ちには需給の調整することが難しく、今日のような混乱を招くこととなる。各社の生産計画を低目に設定して、需要が落ち込んだ場合は、減産で対応できる体制を構築すべきである。
 この見通しは、石油業界の需要想定検討委員会が策定し、12日の総合資源エネルギー調査会石油分科会市場動向委員会が承認したものである。近く石油分科会に提示され、備蓄法に基づく基準目標を決める資料となり、今月末には備蓄目標を決定、官報に告示する。
 そのため石油政策の推進目的では活用しないことになっている。規制時代は、石油政策の推進目的で、石油業法に基づき供給計画を策定するための需要見通しを策定したが、それとは異なり、備蓄目標を決めるための資料となるものである。あくまでも参考資料であり、元売には実需に応じた弾力的な活用が望まれている。景気回復を織り込んでいるため減少幅が緩やかになっているが、石油業界の指標として活用される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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