2013.06.25 のニュース
政策的構造不況からの脱却を
「国家としてエネルギーは重要な戦略物資であるが、規制緩和が進み過ぎて国としてなんの権限もなくなった。市場原理に任せるだけでは問題である。さらには地球温暖化対策などで我が国の石油産業は政策的構造不況業種となっている。国策として石油政策を考えていかなければならない」。SS支援や業転問題など4プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、SSが抱える深刻な課題に取り組んでいる自民党の石油流通問題議員連盟。議連会長の野田毅衆議院議員が役員会やPT会合で常に訴えている発言である。
グローバル経済、自由競争などの名のもとで進められた規制緩和。我が国の石油産業は、そのトップバッターとして規制撤廃が進められた。かつては国の重要な戦略物資として手厚い政策的支援が講じられていたが、規制緩和によって一気に市場競争に委ねられ、輸入・生産から流通・販売に至るまでの過程で様々なねじれが起きている。
それに加えて地球温暖化対策など国の政策によって、石油産業にはさらに強い逆風が吹いている。経済事情の変化や国民の生活習慣などの変化によって不況に陥るのではなく、「脱石油」をスローガンに原発政策や天然ガスシフトなど国を挙げての政策支援。さらには太陽光発電や風力発電、地熱発電など再生可能エネルギーの普及促進に向けた強力なバックアップなど、国はひたすら石油を使わないようにするため各種の政策を推し進め、それが需要の減少になり、現在の石油産業、とりわけ石油流通業を深刻な不況に陥れている。野田会長の「政策的構造不況業種」というのは、現在の石油産業がまさに国の政策によって構造不況に陥ったという意味だ。
石油業界としてもう一つ、納得がいかないのが税制である。地球温暖化対策を進めるための財源に、我々石油業界が徴収を担っている石油石炭税が充てられている。昨年から始まった石油石炭税への3段階の増税も、その税金の使途は地球温暖化対策の拡充であり、増税分を転嫁できない時はSSが被り、転嫁できたとしても割高感を高め需要減に…。これも政策的構造不況である。
議連ではいま、業転格差縮小に向けて生産や流通構造のあり方について検討が進んでいるが、「石油産業をしっかりと支える」との方針のもと、国策としての石油流通政策が明示されることを期待したい。