2013.06.27 のニュース
25年度のLPガス需要は増加-その後は工業、都市ガス用を除き減少-
LPガスの平成25年度~29年度の需要見通しが策定されたが、備蓄法に基づく備蓄目標を決定するための資料となる。東日本大震災の影響で需給が混迷したため策定を見合わせていたもので、石油製品見通しと同様に3年ぶりとなる。電力供給計画が未定のため電力用を除いており、25年度は1607万トンで24年度の1522万トンに比べて5.6%増となる。
用途別でみると家庭業務用は702万トンで0.2%増、工業用は328万トンで1.6%増、都市ガス用は123万トンで17.8%増、自動車用は121万トンで横ばい、化学原料用は334万トンで22%増となっており、25年度は経済成長、景気回復を見込んでいるため、総ての用途で増加となっている。だが、26年度は、その反動で0.3%減となっている。
向こう5年間でみると年率1%の増加、全体の伸び率は4.9%増(74万トン増)となり、29年度では1596万トンとなる。用途別では、家庭業務用、自動車用が年率で各0.8%減となるが、工業用は1.8%増、都市ガス用は5.6%増、化学原料用は2.9%増となる。
家庭業務用は、LPガスの世帯数、器具の普及などから算定、26年度以降は、都心回帰、世帯数の減少、高効率器具への転換により減少。世帯数は、24年度の2万4670万世帯から29年度は2万3839万世帯へ831万世帯減(0.3%減)となる。工業用は、生産活動の回復、環境政策の推進から他燃料からの転換で増加する。都市ガス用は、低カロリーLNGの輸入増加、増熱用LPガスの需要増で年率5.6%の増加となる。自動車用は、主力であるタクシー、貨物車の台数が減少、燃費の向上で減少する。化学原料用は25年度は原料多様化で22.0%の大幅増となるが、その後、減少する。
LPガスは供給安定性について、分散型エネルギーとして利便性に優れていることが東日本大震災時において評価された。常時、家庭にボンベを常設しており、これが軒下在庫として活用され、即供給確保に繋がった。また、LPガスの国家備蓄は石油(原油)備蓄放出と違い、即、供給、消費に繋がる特性を活かし、震災時に備蓄放出が行なわれた。
一方、石油の国家備蓄は原油を保有しているが、原油を処理して製品にするまでに時間がかかり、緊急時に対応できないことが実証された。この教訓を基に、備蓄法が改正され、石油製品備蓄を現行の1日分から4日分に積み増しすることとなった。また、海外からの原油輸入の途絶を前提としていた国家備蓄の放出を国内の災害時でも放出が可能とした。さらに、一定規模の石油業者に災害時の供給計画作成の義務付け、JOGMECによる支援を定めた。
LPガスの備蓄については、国家備蓄の5基地が完成したため全国で150万トン体制となった。そのため山崎日本LPガス協会会長は「現在、エネルギー基本計画を審議しているが、東日本大震災時でもLPガスが災害に強いことを実証しており、位置付けを明確にして供給を確保すべきである。国家備蓄が150万トンを確保したことから、民間備蓄の軽減を国に要請したい。石油の場合は90日分の義務量を70日分へと20日分軽減したこともあり、LPガスも義務量は50日分であるが、これを20日分軽減すべきである」と述べている。