日刊ニュース

2013.07.04 のニュース

ガソリン増販期待が高まる-景気回復もマージン確保を優先-

 7月入りとなりガソリンは夏場商戦を迎える。レジャー、帰省による自動車の利用が増加し、好天気、猛暑によるカークーラーの使用増加でガソリンの増販が見込まれる時期となる。1年で最も販売が活況を呈する時期であるため、街道沿いSSでは増販を狙った商戦が展開される。
 アベノミクス効果で景気の回復、個人消費の伸びが見込まれるが、今後のガソリン需要は大幅増を期待できない。ガソリン販売は今年1月~3月では前年比で4%の落ち込みとなった。予想外の減販となったため、減産対応が間に合わず供給増となり、4月~6月は需給バランスが崩れて市況は下落した。そのため元売、販売業者とも業績は悪化して共倒れ状況となった。ただ、4月販売が449万キロリットルで0.5%の微増、5月は463万キロリットルで1.2%増、6月は横ばいが見込まれており、需要回復の兆しが見られている。そのため、7月~8月販売も同様に増販で推移することが期待されている。
 ちなみに昨年7月が500万キロリットル(前年比で1.5%減)8月が543万キロリットル(0.2%減)となっている。昨年8月は気温が高めで推移したことで、カークーラーの使用が増加、ほぼ横ばいで推移した。今年も増販を期待しているが、前年比では大幅な増加は難しく、横ばいか微増であっても良しとすべきである。
 石油情報センターの調査価格では、全国平均が152円/リットルとなり、小幅な値上がりをみせているが、首都圏の街道沿いの実勢価格は150円を割っており、ユーザーにとって高値感が薄れてきたことも需要回復の要因といえる。安値は140円を割っているが、街道沿いのボトム価格148円の確保を狙い市況対策に取り組んでいる。今後も原油価格が急騰すればガソリンは値上がりするが、140円台で推移しそうであり、この水準を維持すれば高値感は薄らぐため、天候次第では販売量は、横ばいか微増は確保できそうである。
 しかし、大幅な増販は難しいため適正マージンの確保を優先すべきである。ガソリンのマージンは価格競争で減少しており10円を割っているケースが多い。HC、量販店は5円で経営が成り立つビジネスモデルとなっている。一方、フルサービスSSでは10円以上は必要であり、対抗できずに撤退を余儀なくされている。マージン減を油外収益でカバーしようとするも、こちらも競争が激しく苦戦が続いている。
 価格競争の結果、SSの減少が続いており、歯止めがかかる見込みがない。そのため、過疎化問題が表面化している。地域住民にはSSが無いことは生活に大きな影響を与えるため、支援策が求められている。SSの過疎化問題では、まずガソリンの供給不足が取り上げられるが、より懸念されるのは灯油の供給不足であり、厳冬地で高齢者に配達ができなければ死活問題となるため、自治体などの協力、支援が不可欠となる。
 過疎化問題が大きく取り上げられたことで、適正マージン確保の動きもみられるが、価格競争は継続されており、販売業者間の足並みが揃わないことからSSの経営難が続いている。撤退・廃業が依然として続いているため、SSの減少を食い止める解決策として、需要減少下において、小規模SSがマージンを確保できる経営形態を確立すべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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