2013.07.08 のニュース
クルマもガソリンも増えた
登録SS数、元売系列SS数、セルフ数、卸・小売単価、油種別販売量など、2012年度の国内SS関連指標がほぼ出揃い、これらを組み合わせてみることで、様々な業況の解析ができる。
SS数の減少、内需の減少、原油・卸見合いで上昇が不足、または値下がり過ぎた小売など、全体概要は悲観的な材料が多く見出せる。ところが、本紙の今号で紹介している通り、1SS平均という数字に絞り込んで見てみると、SS概況は、そんなに悪くないように見える。
SSにとって、文字通りのお客様であるクルマ台数は、過去10年で平均1499台から2191台へ692台、46%も増加した。しかも増加し続けている。
このお客様が購入されるガソリン数量も、月97・2㌔㍑から129・4㌔㍑へ32・2㌔㍑、33%増加している。クルマ台数と同様に、過去に遡って、増加し続けている。
クルマの46%増に対して、ガソリンが33%増にとどまった点も発見できるが、これはこの間に、燃費の悪いクルマが廃車され、ハイブリッドや軽自動車などの低燃費車に置き換わった現状を見ると、うなずける数字だろう。
増勢を続けるコンビニでさえ、実は多くの既存店が来店客数の減少、売上高の減少に直面している中で、SSを取り巻くベースとなる概況は、やはりそんなに悪くはない、という表現が当てはまる。
各種のテコ入れを間断なく行ってきたと自負のある元売もいるだろうが、ここは、その自負を抑えていただきたい。実質的に過去10年、SSに向けては、新たな商品を投入はまったくなく、合併などに伴う上辺のリニューアルはあっただろうが、改装などの投資もほとんど行わずに今日を迎えた、といってよいだろう。そんな平均的なSSではあっても、1店舗当たりの顧客数が増え続け、数量も増え続けている。そこでは改めて、ガソリンが有する強い商品力が認識できる。
そのガソリンに対して、我々と元売が、お粗末な商売を繰り広げた結果が、こうした基礎数字の良化の恩恵を得られずに過ごした10年間だ。元売と我々の間にある部分が、その要諦である。その要諦さえ、きちんと歯車が回るようになれば、我々にも、元売にも、良化の恩恵が回ってくるだろう。その歯車がきしまずに回転させる潤滑油の役割を、エネ庁と公取委に期待したい。