日刊ニュース

2013.07.09 のニュース

業転問題、概要では不明瞭-最終報告を待ち、再度議論-

 公正取引委員会「ガソリン取引きにおける実態調査」(概要)を発表したことから石油業界では、その解釈を巡り議論されているが、最終的には本報告を待って対応を検討することとなる。概要では、元売が商標権を理由に系列店に対して業転玉の購入を制限していると指摘しているが、これを受けて、「公取委が系列店に対して業転の購入を認める」などの憶測もでており、混乱も生じている。
 この概要は。国会閉会直前の6月25日に、自民党石油流通問題議員連盟の報告会の席上、公取委から発表されたもので、変更もあり得るとの条件つきとなっている。
 その内容は、①仕切価格の設定に当たり十分な情報の開示、交渉が行なわれていない場合がみられた、②安価な業転玉がPBSSに供給されている一方で、系列店にたいしては業転玉の購入・販売を規制していることがうかがわれた、③これらの行為は取引上優越した立場にある元売が、特約店に対し一方的に競争上不利な条件を課しているおそれがあり適切ではないと指摘。公取委は「今後も流通実態を注視していくとともに、事業所管庁にあっても、まずは関係者間での適切な対応を促す必要がある」とコメントしている。
 公取委の概要版を受けて、石油流通議連は元売からヒアリングを行なったが「各社とも改善をしなければならないという問題意識は総じて希薄であり、具体策は出てこない。まず、関係者での適切な対応を促すが、規制のあり方、関連法規の運用について検討、その上で、必要に応じて議員立法を検討する」との報告を行なった。選挙への協力を条件に、石油販売業界に対しての支援を約束したものであるが、簡単には実現する問題ではない。
 公取委の実態調査では、元売ルートのガソリンは全体の80.7%、他方、系列以外に販売したガソリンのうちの46%相当(元売販売の10%)は商社に販売され、業転玉としてPBSSに販売されており系列と業転との価格差は3.8円確認されたと報告している。
 これら多数の問題点が指摘され、元売への対応を求めているが、概要では「うかがわれた」、「行なわれていない場合がみられた」、「適切でないと考える」などの表現となっており、ハッキリとした具体的な事例は示されていない。これら問題点の解決策となると、独占禁止法の改正、法制度の運用面での変更、行政との係わりなど、多岐にわたる調整が求められる。
 業転玉の購入については販売業者の自由とし、業転と系列玉との価格差については是正すべきなど、以前から再三、要望されていることであるが、この問題に対しては商標使用契約、特約販売契約が係ってくるため困難であると解釈されている。独禁法上でも容認されているため、公取委としても厳しく対応を求めることができずに「公正な競争環境を整備するとの観点から、事業所管省にあっても、まずは関係者間での適切な対応を促す必要がある」としている。これらの問題は、法整備など行政による指導も必要となるが、石油の需給調整や安定供給に係る問題となるため、最終的には元売各社が、新しい秩序を形成することで対応する以外に方策はない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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