2013.07.10 のニュース
仕切価格の値決め方式見直しで-業転との価格差問題に対応ヘ-
ガソリン系列仕切と業転との価格差問題が指摘されているが、自民党石油流通問題議員連盟も「価格差解消を実現するため最大限努力する」と約束しており、同じく元売サイドも現行の週決め方式も見直しの時期にきているとの見方から、価格差縮小のための値決め方式の改定が検討されそうである。
販売業者は、系列仕切を値下げして、業転を値上げすることで、価格差の圧縮を要望しているが、どの水準で折り合いをつけるか難しいところである。月決め制から週決め制に移行した仕切価格は、2008年10月から業転、または東京商品取引所の先物価格に1円~2円/リットルの販売関連コスト(ブランド料)を加算して実施となったが、その時期から原油価格が急落するなど市況が混乱して元売の業績は悪化した。その後、ブランド料を4円~5円に引き上げる小幅な改定を行なったことで、マージンを確保、今日に及んでいる。
月岡出光興産社長は「新しい価格決定方式を打ち出しても、3年~4年を経過すると、その方式に沿った有利な販売方針が出てくるなど外部環境が変化する弊害が出てくるため、見直しの時期に来ている。精製能力が削減されても外販(系列外販売)するための供給が行なわれることで供給増が続くことになる。業転市場も大口の海上(バージ)よりも小口の陸上(ローリー)の方が安い状況が続くことがおかしい」と語っている。
現在の業転市場は、元売の大口の市中買い(海上)が中心となっているが、2月~3月での予想外の減販のため4月~5月で市中買いがなくなり、供給増で業転が急落、市況が混迷した。そのため、販売業界から業転安による系列仕切との4円~5円の価格差の是正を求める要望が出ていた。参議院選挙を前に、自民党流通議連が、そのタイミングに合わせて業転問題を取り上げ、6月25日に報告会を開き、公取委からも実態調査の概要が提示された。
系列仕切と業転との価格差が存在することは明らかであるが、独占禁止法上の差別対価には該当せず、通常の取引として容認されている。だが、元売は商標権、特約店販売契約を盾に系列販売業者に対して業転玉の購入・販売を認めていない。公取委の調査では「自社が精製したガソリンを商社に販売し、それが安価な業転玉としてPBSSに供給されている一方で、系列特約店に対しては業転玉の購入・販売を制限していることがうかがえた」としている。「これらの行為は公正な競争環境を整備する観点からみて適切でないと考えられる」と指摘しており、「まずは関係者間での適切な対応を施す必要がある」としている。だが、価格設定について積極的に介入する姿勢はみせていない。
元売は特約契約に基づく系列販売を維持することで安定供給、安定経営を確保することが基本となるとしており、その方針を崩すことはない。業転市場は余剰玉を調整するためには必要であり、全流通量に対する比率は、系列販売が80%、業転が20%とされ、高値の系列販売のシェアを維持することで、業績の安定化を図ることでは一致している。そのため、指標としている業転価格を陸上から海上にするなど、今後は変更も検討されそうである。