日刊ニュース

2013.07.12 のニュース

エジプト政情不安で原油高続く-WTI急騰、ドバイと同値-

 エジプトの政情不安により原油価格が100ドル/バーレルを超え、為替が101円/ドルの円安となり、コスト増となってきた。そのため元売は、6日からガソリンの仕切価格を3円/リットル値上げを実施、今週も連続値上げが見込まれている。
 原油価格はブレントが107ドル、ドバイとWTIは、同値の103ドルへと値上がりしており、前月と比べると5ドル~6ドルの値上がりとなっている。エジプトの内乱は長期化の方向にあり、周辺諸国への影響が懸念されているため、今後も原油価格は値上がりが予想されている。
 原油価格の流れは、まずブレント(ロンドン市場)が値上がり、これに連動してドバイも遅れながら値上がりしてきた。一方、WTIは、アメリカ国内の景気、石油需要動向など国内経済の影響を受けて、別な値動きとなっているため、世界の原油市況とは乖離していた。そのためブレントに比べ15ドルも安値となり、指標としては活用できないとされていた。また、アメリカ国内では、シェールガス・オイルの開発が進み、この影響から原油価格の下落が見込まれたが、現在はWTIもブレントとの価格差が5ドルと縮小されるなど急騰しており、原油価格の流れが変わってきた。世界の原油相場は、ブレントが牽引しており、これにドバイが連動していたが、WTIがドバイの同値まで急騰したことで、再び指標として活用できる水準となった。
 このところの原油価格は、2年前、リビアでの混乱を機にブレントが急騰した際と同様な値動きをしており、WTIの値動きが注目される。WTIの急騰は、アメリカの景気回復による需要増、パイプライン整備による流動性が高まってきたことを要因としている。さらにアメリカは、これからドライブシーズン入りとなるため、今後のガソリンの販売が注目される。
 日本の原油輸入価格は、中東産のドバイ、オマーンの平均値の変動に連動する値決め方式を導入しているため、ドバイの値動きが注目される。東京商品取引所の原油相場はドバイの値上がりを受けて6万5000円/キロリットルで推移している。一方、ガソリンは7万8000円に値上がりしており、業転市況も連動して値上がりしてきた。
 為替は、安部政権の推進するアベノミクスの効果によって円安が進行。一時は105円/ドルとなったが、その後は95円~96円まで円高に転じたものの、再び101円の円安に戻してきた。この急激な円安によるコスト増分の転嫁は難しく、仕切価格の値上げがこれまで不発であった。一方、原油価格も2月をピークも値下がりに転じたため、ガソリン市況も3月から下落してきた。ガソリン市況は150円/リットルを超えるとユーザーの節約志向が強まり減販となるとの見方もあるが、1月~3月は、大幅な減販となり、市況は急落、安値は140円割れとなっていた。
 4月以降、需要が回復して増加傾向となっており、ここにきて気温35度を超える猛暑日が続き、今後の増販が見込まれる状況となってきた。6日から仕切価格が3円の値上げとなったことで、販売業者はユーザー転嫁に取り組み、再度、150円台に挑戦することになるが、完達できるか否かは、今後の販売数量の増減にかかってくる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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