2013.07.16 のニュース
迫る卸の大幅高・第2波
ここのところの原油高は、米国WTI原油が牽引している。3大マーカー原油の相場動向をドル建てで比較すると、日本向けの中東産原油指標は1ヵ月前と比較して2・4㌦高であるのに対して、欧州ブレント原油は3・9㌦高、米国WTIは7・8㌦高となり、円建てでは日本向け㍑3・7円高、欧州4・6円高、米国7・0円高という状況だ。世界中で、この原油高の影響が最も過少な場所に我々はいる、という見方ができる。
もともと含有している留分の関係で、この3油種の価格は、より軽質分が多い割高な順に、米国-欧州-日本という法則であったが、2011年の年初以降、米国原油の価格が低迷して最安値油種となった。それが先週末7月5日に、実に2年7ヵ月ぶりに、米国が日本向けを上回り、割高さを回復させた。同時にこの間、欧州に奪われていた世界の原油相場への影響力も回復させている。
原油高の背景は、エジプト情勢の悪化という中東の地政学事情によるもので、スエズ運河、近隣国への影響が材料視されているようだ。ところが、「米国発シェールガス革命」「米国のエネルギー事情一変」という類のニュースが数多く発せられ、中東の原油への依存度が低下する一方だった米国の相場が急騰する事情が不明だ。こうした外観は、実は新たな動きを過大評価し、過去からの遺物は過小評価する、というマスコミ報道に踊らされていた影響があるように見える。石油は、中東は、依然として世界への影響力は強大なのだが、それを徐々に過小評価していった米国が、リセットされたのかもしれない。
先週、我々SSに向けて、コスト面からみて3倍に増幅されたような卸大幅高が発せられたが、欧米を舞台に、原油見合いで3倍もの人為的な製品値上げシグナルが発せられれば、恐らくただ事では済まないだろう。中でもガソリンがぶ飲みの米国消費者なら、メーカー相手の訴訟のオンパレードとなっただろう。ここでも、国内市場の特殊性が見える。指標のベースが崩壊しつつある構造が見える。
SSには、週改定というスピードについて行かねば、粗利を大きく劣化させる強迫観念があるから、ただ卸高の背中を追って行くしかないが、またしても、今週末には原油高に伴う正真正銘値上げが迫る。大幅高の第2波に備えよう。