2013.07.16 のニュース
関係者間の適切な対応を促す-多くの問題点を指摘するも-
公正取引委員会の「ガソリン取引きにおける実態調査」(概要)が発表されたことから、石油販売業界では、その解釈などを巡って議論するなど期待感を強めている。だが、これを機に特約契約が改善されるなど、公取委が即、新しい対応策を示すものではなく、実態調査での問題点については、「今後とも、流通実態を注視していくとともに、事業所管庁(資源エネルギー庁)にあっても、まずは関係者間(元売、販売業者)での今後の対応を促す」となっている。
実態調査の概要では、①仕切価格の設定に当たり十分な情報の開示、交渉が行なわれていない場合がみられた、②安価な業転玉としてPBSSに供給されている一方で、系列店に対しては業転玉の購入・販売を規制していることがうかがわれた、③これらの行為は取引上優越した立場にある元売が特約店に対して、一方的に競争上不利な条件を課しているおそれがあり適切ではないと考えるなど、問題点を指摘している。
この指摘について、「業転玉の購入を制限していることがうかがわれる」との記述を、公取委が「系列店に対して業転の購入を認める」という意味に捉え、販売業者を支援しているという解釈も出ている。
この概要は、国会閉会直前の6月25日に、自民党石油流通問題議員連盟の報告会が開催され、その席上、公取委からSS経営実態調査の概要として発表されたものである。石油流通議連も、公取委の概要版を受けて「元売からヒアリングを行なったが、各社とも改善をしなければならないという問題意識は総じて希薄であり、具体策は出てこない。まず、関係者での適切な対応を促すが、規制のあり方、関連法規の運用について検討し、その上で、必要に応じて議員立法を検討する」との報告を行なった。選挙前であるため、石油販売業界に対しての支援を約束したものである。政治的な発言となるが、元売の意見もあり、調整する問題も多く、簡単には改善策が実現することはない。
実態調査では、元売ルートのガソリンは、全体の80.7%となっている。他方、系列以外に販売した19.3%のうちの46%相当(元売販売の10%)は、商社に販売され、業転玉としてPBSSに販売されている。「業転玉」とは、系列以外の経路で流通するガソリンと定義しており、系列と業転との価格差が3.8円/リットル存在する実態も明らかにしている。この価格差は、ブランド料(販売関連経費)となっているもので、石油業界では定着しており、販売業者からは、その価格差の縮小を要望されているものである。
これらの問題点について、元売に対応を求めているが、改善策となると、元売の販売方針の変更、独占禁止法の運用、行政指導など、多岐にわたる調整が求められる。
系列仕切価格と業転との価格差の是正、業転玉の自由な購入・販売などの要請は、再三にわたって行なわれているが、これらの問題に対しては、商標使用契約、特約販売契約が独禁法上でも認められているため、法改正なくして解決は難しい。また、供給過剰や需給調整の方法に係ってくるため、最終的には元売各社に新しい秩序の形成を促す以外に方策はない。