2013.07.18 のニュース
予想を上回る仕切値上げで揃う-上げ幅同値、市場支配力強める-
ガソリン仕切価格の改定は、7月に入り6日から3円/リットル、13日から2円の2週累計5円という同値の値上げで各社が揃った。これまでは、独占禁止法の価格協議の疑いを避けることから、改定幅にバラツキがあったが、6月に入って値上げ、値下げ、据置きとも、全くの同一の改定方針で揃っており、価格改定の相場観が各社間で一致したことになる。販売業者サイドでは、この流れが今後も続くとなると、元売の市場支配力が強まるのではないかと警戒を強めている。
仕切価格の値上げを打ち出しても需給が緩和して業転が値下がりすれば、末端価格の値上げが難しくなりユーザー転嫁が不発となるケースもある。だが、今回のように各社が同じ値上げ幅で実施となれば浸透する公算が強まる。これまでの価格政策は、原油価格の高騰で仕切価格を値上げする場合は、コスト増を認識して、まず、需給を絞り業転を値上げすることを先行させていた。業転を値上げすると同時に仕切価格の値上げを実施することで対応しているが、結果的には仕切価格の値上げが先行して達成され、その後に業転が値上げとなるため、業転との価格差が拡大することになる。現在、販売業者は業転と系列仕切との価格差の是正を求めているが、元売の足並みが揃い、強気に転じる動きが出るなど方向転換を懸念する見方も出ている。
石油製品は、他社製品と差別化ができないため、一物一価となり、価格差の少ない商品である。本来、価格差がなく、取引き数量、支払いサイトなどで価格差が生じるが僅差である。しかし、業転は、余剰玉であるため系列仕切との間には価格差が生じることは容認されている。問題は業転との価格差を、どの程度の範囲内なら容認できるかということになる。現在は4円~5円となっているが、需給が緩和するとさらに拡大する。だが、販売業者は1円~2円が妥当であるとしている。業転を値上げしたうえで系列仕切を値下げして、双方の価格差を是正すべきであるとの意見があるが、この調整は難しい。業転と系列仕切との価格差はブランド料であり、その中身は品質保証、販売促進、安定供給などのコストとなっている。そのため元売は、販売業者が業転玉を購入して販売した場合、品質保証、商標権の侵害として元売マークを降ろすことを、当然の権利として施行している。
一方、週決めの仕切価格の改定方式にも変化が見えてきた。基本的には金曜日に通告、土曜日から実施となるが、EMGマーケティングの場合は、市場が変動している時期には週中でも改定する。また、外販(業転)価格が木曜日に通告されており、この改定幅に各社が追随する形で市況が形成されることで、EMGがプライスリーダーの役割を果たしている。JX日鉱日石エネルギーが週中(水曜日)で仕切価格を改定するケースもあるが、この場合は値下げ局面での実施となる。水曜日から値下げして、土曜日に値上げすることで、結果的には他社と同値の改定幅に調整することになる。市況実態に合わせて価格を調整するものであるが、足元では値上げ局面であるため、週中の改定は行なわれていない。
ここにきて各社の仕切価格の改定幅が揃ったことで、今後の動向が注目される。