2013.07.18 のニュース
快適ドライブの最寄拠点に
昨夏、総合資源エネルギー調査会によるガソリン内需見通しとして2010年度比で20年度3割減、30年度6割減と示されたデータに衝撃を受け、我々は危機感を高めていた。要因を深堀りしてみると、燃費改善や次世代車シフト、交通流の改善などの政策誘導的要素もかなり織り込まれていた。確かに、相対的にはクルマの低燃費化やダウンサイジング化が進行中だが、HVも含めてガソリンを燃料に使用する車両保有台数は5年前比で約3%、10年前比では1割程度増加している。都道府県別にみても10年前比で減少したところはなく、5年前比では東京、神奈川、大阪がやや減ったが、反面、当該地域ではレンタカーやカーシェアビジネスの台頭も目立つ。ガソリン需要が減りつつあるとはいえ、クルマの保有・利用意識は薄れていないのだ。
3月末の全国SS数は3万6349ヵ所。5年前比で約7700ヵ所、17%減、10年前比で1万5千ヵ所、29%減少したが、保有台数は増えたため、1SS当たり単純平均でのガソリン使用車台数は5年で25%増、10年で56%増の1917台へと大幅に増えた。ただ、セルフSS比率が全体の24%に達し、フルに対して平均販売量3倍程度とのデータも見られるので、量販店と中小フルSSとは来店台数に相当の格差が開いている。
ガソリン内需が伸び続ける前提に立ったビジネスモデルは失せた。市場が縮む中で量を奪い合えば、低マージン競争の熾烈化に拍車がかかるのは必至。自ら踏み込んだ燃料油の収益不足に頭を痛めるのは仕方がないが、石油販売業界全体の疲弊を招く一大原因となっている。これは大迷惑極まりない。ものには限度がある。良識を問いたい。書き入れ時を迎え、卸価格は2週連続、累計5円の大幅値上げだが、将来まで見据えた採算水準の回復は待ったなしだ。
JTBがまとめた今夏の国内宿泊旅行者数は2000年以降で過去最高を記録した昨年を3%上回る7460万人が見込まれ、交通手段の6割強に乗用車が利用されるという。複数名での乗車が増えるし、日帰り旅行も含めればSSに立ち寄るお客様の数は膨大になる。安心・安全で快適なドライブ旅行のお手伝いに努め、ほっと一息つけるような会話と笑顔で応対しよう。不毛な廉売の連鎖を断ち切り、SSの存在意義をご理解いただく好機としたい。