2013.07.19 のニュース
ガソリン値上げが大幅に-中間留分の値上げ不足分をカバー-
夏場となり、ガソリンは需要期に入り、灯油など中間留分は不需要期に入ったため「ガソリン高の灯油安」の価格体系となってきた。東京商品取引所のガソリン先物は78円/リットル、灯油は76円、原油は65円で推移している。業転も、ほぼ同値で推移しており、6月末に比べると4円~5円の値上がりとなっている。
7月入りで、ガソリンの仕切価格は2週累計5円の値上げとなったが、灯油は4円弱の値上げに止まっている。だが、灯油など中間留分は不需要期での値上げとなっているため、ユーザー転嫁は苦戦が強そうである。
ガソリンの値上げが大幅であった要因として、①不需要期であり中間留分の値上げが難しいためガソリンに加算した、②これまでの下げ過ぎ分を加算した、③ガソリンは需要期には値上げが容易である、④猛暑であることに加え景気が回復しつつあり販売増が見込まれる、などがあげられる。
その反面、暖房用の灯油、A重油の販売は、不需要期となるため販売は大幅に落ち込む。灯油販売は、ピークの12月が340万キロリットルであるのに対して夏場は約70万キロリットルに激減する。夏場は業務用(工業用)のみとなり、これから暖房用向けの在庫の積み増しとなるが、7月での値上げに業者は戸惑いをみせている。安値となる夏場に在庫を積み増しして冬場の需要期に備え、需要期での値上がりを見込んで利益を確保するのが灯油商戦のポイントとなる。しかし、夏場に原油価格が値上がりしたため、在庫の積み増しのタイミングも難しくなってきた、夏場に値上がりして冬場で値下がりすることになれば最悪なシナリオとなる。
A重油は、漁業用の燃料費が値上がりしても、魚の値段はその日の市場で決まるため、燃料費の増加は魚の値段には上乗せされず、漁業者の負担となり、赤字となるケースも出てくる。燃料費が高くなると採算に乗らず操業を停止することになる。
同じく運送業者も、軽油が値上がりしても業者間の競争が激しいため運送費の値上げが難しく、経営難になるとの声が出ている。このように燃料費の値上がりに対して、国、地方自治体へ助成金などの支援を求める意見も出ているが、自由競争の経済のもとでは自己責任となるため、ユーザーに転嫁する以外に方策がない。いずれにしても、中間留分の値上げはユーザーの反発も強く、値取りは苦戦することとなる。
値上げが続き高値となれば節約志向から買い控えが起こる。ガソリンは150円台、灯油は100円台がその目途とされているが、ガソリンは、すでに150円相場となっているため、今後は、猛暑による増販と高値による節約の綱引きとなる。今夏は猛暑による増販が見込まれているが、160円に近づけば減販必至とみられる。
景気が回復の兆しをみせていることから、夏休みにはレジャー、帰省にと、例年以上に自動車が利用される。さらに猛暑によるカークーラーの使用が増加すればガソリンの消費は加速することになる。連日の猛暑のため出荷は好調であり、大幅な仕切価格の値上げも今後予想され、天候次第ではあるが、このまま猛暑が続けば増販となり値上げが浸透することになる。