2010.06.21 のニュース
論説 重要性増す組織「情報」活動
かつてのわが国の中小企業政策は、護送船団方式と呼ばれるように同業者組合が核となって構造改善計画などを策定し、組合員である中小企業がみんな横並びで経営を維持できるような政策が執行されてきた。実際に同業者組合は団結の象徴であり、その団結力を背景にした活動が、市場や個別の経営に強い影響を及ぼしていた。
しかし、規制緩和によって護送船団方式は過去の悪しき政策と位置付けられ、その同業者組合を中心にした中小企業政策そのものが大きく見直された。みんな一緒ではなく、意欲を持って取り組む個別の中小企業を重点的に支援する政策に転換したのである。
この中小企業政策の転換によって、石油流通業界も「規制」や「保護」の時代から脱却することが求められた。規制緩和で一気に自由競争に突入し、過当競争によるマージン縮小で、多くの事業者が再投資できないような経営状態に陥った。
これに対し組織活動もその役割を変えた。全石連や石油組合は規制緩和からこれまでの間、公正・公平な競争ができるよう新時代に合ったルールを求め、それを実現してきた。一方で、意欲を持って取り組む事業者が活用できるよう各種支援制度の創設を国に求め、一定の制度を獲得してきた。
最近、「新しい補助事業を活用したいが、どうしたらいいのか」 「危険物規制の制度改正があると聞いたが、自分のスタンドはどう対応したらいいのが」などの問い合わせ。さらには「次世代型車に関する講習会はどこかでやっていないのか」 「ハイブリッド研修を実施してくれないか」など、将来を見据えた人材育成への意欲も高まっている。
全石連も含めて各県の組合事務局には毎日、こうした質問や問い合わせが多く寄せられる。それだけ組織がさまざまな役割を果たし、活用されているということでもある。組合組織が情報の交差点としてますます重要さを増している。
組合がなにかしてくれるのを待つのではなく、組合を積極的に利用し始めたということでもある。ちなみにこの機関紙「ぜんせき」はその情報提供の最前線を担っているのだが、最近は特に、元売の仕切価格の週決め方式への移行以来、本紙掲載の週仕切り関係の情報への問い合わせが急増している。組織を活用した独自の経営指針の決定が始まっている。