2013.08.02 のニュース
公取委の報告を評価するも-業者、元売の対応を見守る-
公正取引委員会は、「ガソリン取引に関する調査」の最終報告を発表、元売に改善策を求めているが、「まずは関係者間で適切な対応を促す」としており、今後は資源エネルギー庁によるヒアリングなどを通じて仕切価格の設定方式、特約契約の改定などが行なわれる。だが、その調整には時間がかかりそうである。販売業者サイドでは公取委の報告が出たことで、業転との価格差問題について元売への牽制になるとの効果を評価しているが、当面は元売の対応を見守ることになる。
公取委の報告の背景には、自民党石油流通問題議員連盟(野田毅会長)の「元売の供給過剰体制の是正と業界全体の構造改善のための政策的対応を政府に求める。事業規制のあり方や関連法規の運用も引き続き検討していく。その上で、必要に応じて議員立法も検討する」(6月25日とりまとめ)との方針が圧力となっており、今後、元売による改善策が打ち出されそうである。
公取委の報告では、仕切価格の設定には情報開示や交渉が行なわれず、また、元売は商社などに安価な業転を販売しているが、特約店に対して業転の購入・販売を制限しており、公平性を欠いているため、特約店との間で一定のルールを策定する必要があるとの改善策を元売に求めている。この改善策については、個々の商取引きの問題であるため調整は難しくなるが、仕切価格の値決め方式などを含め特約契約を改定する時期にきており、一部で手直しされることも予想されている。
現行の週決めの市場連動制は2008年10月から実施となり、2010年10月からブランド料として4円~5円/リットルが加算される方式が導入されたことから、業転と系列仕切価格との間に4円~5円の価格差が生じることとなり今日に及んでいる。この業転との価格差の是正、もしくは業転を自由に購入できるようにすべきであると販売業者は以前より要望している。因みにブランド料の内訳は、設備費、広告費、カードシステムなど、いわゆる品質保証、安定供給料を含めたものとなっている。
業転の購入・販売についてはルールを策定することが必要であると公取委は指摘している。元売は、業転玉を商社などを通じ供給しており、それがPBSSへと流通する。業転玉は余剰玉であり仕切価格より割安となるため、特約店は不利な立場となっており、公正な競争のためには業転玉の購入を自由にすべきとの要望が出ている。
一方、元売は、系列SSに対しての安定供給、品質保証、消費者保護の立場からブランド(元売マーク)を維持するため、業転の購入・販売を禁止している。この点は、独占禁止法においても容認されている。
販売業者は「業転玉の大半は国内で生産されたガソリンであり、品質も保証されているため、これを混合して販売しても、品確法上は問題がない」と反論している。だが、元売は業転玉の混合を認めていない。商標権の問題と絡むため、元売は一歩も妥協しない構えであり、元売と特約店とのルール策定は難航するものとみられる。そもそも、ルール策定については特約店会で議論するのか、個々の特約契約のなかで行なわれるのか、議論の場についてさえ、定まらない状況である。