2013.08.05 のニュース
「同じ土俵」という願い
原価の高騰による転嫁不足はゼロ、端数の税額も完全に転嫁可能。さらに、高額なタレントを起用し、テレビ放映枠を買い取り、スポーツチームの維持費まで、最終ユーザーに転嫁する仕組みを謳歌してきた電力、都市ガス。時には大赤字を計上せざるを得なかった苦難の歴史の繰り返しの中で、企業自らが経費を捻出して、維持され、先般の都市対抗野球2連覇V11を達成したJX-ENEOS野球チームに対して、例えば東京ガスの野球チームの台所事情は大きく異なる。財政面で、完全な自己完結型の自助努力チームに対して、親方日の丸チームといえるだろう。
こうした電力・ガスの価格決定の仕組みを総括原価方式というらしいが、地域独占とともに金城湯池が如くに堅牢だったその既得権が、オール見直しにさらされている。製造、物流(送電線や配管)、小売を垂直統合している現行の企業形態でさえ、今後の展開によっては、分離・分割を迫られる可能性がある。エネルギー企業にも、時代のニーズに沿った変換が求められているのだ。
系列SSに対しては、カードを含んだ各種のシステムなどの維持、系列サポートとしてのコストをご負担いただく。
平均で㍑4円前後とされる元売のブランド料相当額は、このように説明されているが、こうした説明は、果たして世間に許容されるものだろうか。ブランド権者が自ら「4円説」を唱えても、ご負担いただくお客様が、その価値を見出せないとしたら、過大かつ誇大な要求となるのではないか。ここで言う元売のお客様とは、SSでもあるし、SSのその先におられるエンドユーザーでもある。
長年、系列に属して、数代にわたって元売と栄枯盛衰をともに過ごした屋号を有するのが地域の特約店である。共有した時代の多くは、元売が欲するブランド料を理解・共感して、その負担を果たしてきた。ところが、その近況は異なる。
この10年を振り返ると、卸格差に起因したSSの栄枯盛衰が露骨に生じているのだ。首都圏を含む関東のプライスリーダーは、かの異業種PBだ。彼のSS部門の成長力を凌駕する元売発のビジネスモデルを、我々は知らない。HC併設・巨艦セルフSSというスタイルも世間受けしたのだろうが、安値卸と量販廉売が彼の成長を大いに助けたのは間違いない。卸格差が勝敗を決してしまう現状を、ぜひ変換してほしい。