2013.08.06 のニュース
惨憺たる7月ガソリン粗利
7月の原油(中東産指標FOB)は前月比3・2㌦高の103・5㌦、為替TTSは2・3円の円安で100・8円。この結果、円建ての原油は㍑3・5円高の65・6円となった。これに対して、国内の7月石油製品卸は、ガソリン4・5(出光)~4・7円(JX)、灯油は3・1円、軽油は3・0(昭シ)~3・4円(JXと出光)の全値上がりとなった、と元売が公表しているから、系列向けの元売のガソリン粗利は、単純計算で1~1・2円良化したことになる。
系列向けばかりでなく、いわゆる業転向けでも、良化の跡が鮮明に残る。精製元売のガソリン良化の7月の形跡を精査すると、下旬の良化幅が著しい。月初から中旬までは、むしろ最悪の5月の症状に近い低レベルだったが、中旬以降は週1・5円ペースで積み上がっていき、下旬から現在までの状態は、昨年9月以来の高採算、好況にある。
8月も、数量面でのプラス要因が加われば、4-6月の粗利悪化、実質赤字という石油部門の不振は、一気に払拭されるだろう。旧盆商戦を前に、元売側の収益再構築のベースが完全に整ったことを意味する。
一方のSSは、といえば、7月は暗転の履歴が残ってしまった。
月次平均で、4・5~4・7円の系列卸高、5・0円の京浜海上の業転高、4・6円の同陸上の業転高に対して、小売は消費税込みで3・3円高にとどまった。税別では3・2円だ。どんな仕入れソースであろうが、平均1・4円の粗利を失ったことになる。
各調査・発表を活用すると、SSガソリン粗利は、4月11・5円(低位ケースでは8・6円、5月11・3円(8・5円)、6月9・8円(7・3円)とじりじりと低下し、7月には8・3円(5・8円)にまで落ち込んでしまった。この数字は2009年5月と同レベルで、これは21世紀に入って最少となる。4週連続の卸・仕切り値上げに対して、小売の上げ幅が全国平均よりも少なかった地域では、抱えてしまった転嫁不足は深刻なレベルとなっているはずだ。しかも月平均で悪い、というばかりか、7月のSS粗利悪化は、下旬のほうが大きくなっている。
全国的に完全梅雨明けとなり、間近に控えた夏商戦本番の旧盆。今週も転嫁不足を補う道を歩むことこそが正しい経営判断だろう。