2013.08.07 のニュース
石油開発は減益も黒字計上-石油事業の赤字をカバー-
元売、石油開発会社の4月~6月の決算が発表されているが、石油開発事業をみると、円安による増益要因もあるが、原油価格が前年に比べて下落したこともあり減益となっている。ただ、原油価格は値下がりしているものの100ドル/バーレルを超え高値水準となっており、為替も99円/ドルと円安となったため、まずまずの決算となっている。
各社別では、JXホールディングスの石油・天然ガス事業の売上高は482億円で、前年同期比5.4%減、経常利益は310億円で、前年同期の366億円と比べると56億円の減益となった。コスモ石油の石油開発事業の売上高は162億円で前年比で60億円の減収、経常利益は120億円で前年の177億円に比べると57億円の減益となっている。国際石油開発帝石の売上高は3025億円で前年比で83億円の減収、経常利益は1506億円で556億円の減益、純利益は299億円で399億円の減益どなっている。
4月~6月の原油価格は103ドルで前年同期の116ドルに比べると13ドルの値下がりとなっている。為替は99円で前年が81円であるため18円の円安となっている。円/キロリットル換算でみると受入原油代は約6万7000円で前年の6万3000円に比べる4000円の値上がりとなる。
原油価格は、前年に比べると値下がりしているが、100ドル台の高値で推移しており、為替も99円と100円前後の円安に転じているため、円建てでは値上がりとなった。石油事業の赤字に比べ石油開発事業は、黒字の好決算となる。
元売ベースの4月~6月連結決算は、本業の石油事業が市況低迷でマージンが減少したため実質赤字となった。円安によるコスト増の転嫁が遅れたことも影響したが、4月~5月は高値の原油在庫を抱えながら供給増となり市況が下落した。この石油事業の赤字を石油開発事業の黒字でカバーしたことになる。また、石油化学も海外市況が堅調に推移したことで増益となった。
JX開発の原油・ガスの販売数量は、11万5000バーレル/日(13万1000バーレル/日)で1万6000バーレル/日の減少となった。主な事業展開としては、5月にオーストラリアの北西大陸フィヌケイン・サウス油田で生産を開始、6月に同鉱区の隣接鉱区の権益を取得、また、ベトナム南部簿海鉱区でガス・コンデンセート層を確認した。7月には佐渡南西沖で試掘調査(国からの委託事業)を終了したが、顕著な石油・天然ガスの徴候は確認できなかった。同じく7月には、オーストラリア北西大陸棚WA‐49‐R鉱区でガスを発見している。
コスモの関係会社の原油生産量は、アブダビ石油(コスモの出資比率63%)は1万6880バーレル/日(前年は2万1246バーレル/日)、カタール石油(75%)は6819バーレル/日(7562バーレル/日)、合同石油(45%)は1万3462バーレル/日(1万2156バーレル/日)となっている。
国際石油開発帝石の原油販売数量は、15%の減少、天然ガスは3.1%の増加となっている。上期の見通しは、経常利益が3120億円で前回予想の3000億円に比べ120億円の増益(前年比では15%減)、純利益は690億円で予想比で30億円の増益と上方修正している。