2013.08.08 のニュース
元売と系列SSとの調和回復
発達した市場経済と神の手による市場原理によって、もはや石油はコモディティー・一商品に過ぎない、と看破した経済学者がいた。ところが、相変わらず石油は、世界のエネルギーの中心軸であり、その安定供給は国家の盛衰を左右する基幹物資である。
地球温暖化防止の観点から、21世紀は、化石燃料の使用は極力抑え、原子力と再生可能エネルギーの利活用によって切り開かれる、と信じて、現在に至るエネルギー基本計画が定められた。
石油の有用性、そして、その大切さを訴え続けたのは、我々と元売のみというような構図が、わずか2年半前までの、この国の姿であった。電力や都市ガスの攻勢が既定路線となり、内需の大幅減退が示されたその道筋に、石油はうなだれ、地下タンク規制の費用捻出さえままならない地域SSは、絶望感にさいなまれた。
ところが3・11を契機に、政治が、行政が、地域社会が、石油とSSの有用性と大切さに目覚め、その衆目を一身に浴びる今日を迎えている。政治と行政が、石油とSSの健全性の回復のために、大きな力を発揮した2年半であった。そして、いま石油は、元売と系列SSの関係について、ここ数年で欠け続けてきた「調和」を求めているように見える。
全体がほどよく釣り合って、矛盾や衝突などがなく、まとまっていること。このように解説される「調和」。国内石油元売と石油販売業界の関係において、残念ながら、その「調和」が崩れてしまっている。ここで言う「調和」とは、そのまま収益に置き換えてみることができる。
大雑把すぎるだろうが、元売は、せめて系列特約店・SSの過半数について、その取引について、満足感を得るべきだろう。系列のほとんどが許容したくないような取引の仕組みは改めるべきだろう。現状の仕組みを改めてほしい、という大多数の系列の声は、過去からずーっと届いていたはずだ。
「この条件が許容できないなら、どうぞ、系列を離れてください」。こんな関係で、終わりにしてしまっては、石油に、先達に、申し訳ない。元売と我々が「調和」を回復する算式は、実は単純だ。系列を現状よりも割安にし、業転を現状よりも割高にすることだ。実現するには、きめ細かい需給コントロールが不可欠だろうが、それを実行してほしい。