2013.08.09 のニュース
石油化学が好調で増益-石油事業の実質赤字を相殺-
元売の4月~6月決算が発表となったが、セグメント別でみるとコア事業の「石油製品」(石油事業)は、在庫評価益が発生したため黒字となったが、在庫評価益を除くと赤字となっている。この実質赤字を「石油化学」と「石油開発」の黒字でカバーして、連結では黒字計上となった。
「石油製品」は国内の製品市況の低迷でマージンが悪化して実質赤字となった。各社別でみると出光興産の「石油製品」の営業利益は41億円(前年同期は50億円の損失であったため91億円増)となったが、在庫影響を除くと65億円の損失となっている。
JX日鉱日石エネルギーの「石油製品」の経常損失は、在庫影響除きでは257億円の損失となった。前年が172億円の損失であったため83億円の悪化となる。「エネルギー事業」では、経常利益が261億円(前年は909億円の損失)となったが、在庫評価益が293億円あり、相殺すると33億円の損失となる。その内訳をみると「石油製品」が257億円の損失となったが、「石油化学製品」が224億円の利益となり、相殺するかたちで33億円の赤字に収まっている。
コスモ石油の「石油事業」は経常損失が129億円(前年が388億円の損失)となっているが前年に比べると259億円の改善となる。在庫評価益が2億円となり、在庫影響除きでは127億円の損失(175億円の損失)となっている。
「石油製品」については、原油価格(ドバイ)が103ドル(前年は116ドル)という高値で推移、為替が99円/ドル(81円/ドル)と円安によりコスト増となったが、4月~5月の供給過剰による需給緩和で市況が低迷しマージン減となった。定期修理時期となっても供給増が続き、業転市況が急落したことで末端市況が下落、元売、販売業者ともマージンが減少して赤字となった。
これに対して「石油化学」は、パラキシレンの価格が堅調に推移したことに加え、米国のベンゼン価格の上昇もあり好転した。シェールガス革命による増産で、天然ガスが生産減となった結果、天然ガスからの石油化学製品が減産となり、海外市況が堅調に推移、国内の石油化学が好調となっている。
「石油化学」の業績を各社別にみると、出光の営業利益は99億円(前年は17億円)で前年比で82億円の増益、JXエネルギーの経常利益は224億円(31億円)で193億円の増益。コスモは19億円(11億円の損失)で30億円の増益と各社、大幅な増益となった。
さらに「石油開発」も原油高と円安で利益を確保した。出光の営業利益は40億円(前年は120億円)となった。80億円の減少となったが、生産は前年並みであり、減益の要因は出荷の一部が遅れたため利益計上が次期にズレたことによる。コスモは経常利益が120億円(177億円)で57億円の減益となっているが、これは生産減によるものである。JXエネルギーの「石油・天燃ガス開発事業」の経常利益は、310億円(前年は366億円)で56億円の減益となったが、これも減産によるものである。油価は、前年に比べると下落したが、100ドル/バーレル台の高値で推移、円安による増益が見込まれたが販売(生産)数量が減少した。