2013.08.13 のニュース
7月~9月で業績回復へ-仕切値上げ浸透でマージン確保-
石油各社の4月~6月決算では、コアの石油事業(石油製品)が国内市況下落のため、コストを回収できず実質赤字(在庫評価益を除き)となったが、7月以降は仕切価格の値上げも浸透しつつあり、業績は回復が見込まれている。円安効果で製品輸出も増加しており、需給も安定化してきたため値取りが可能となる環境が整備されてきた。
7月に入りガソリン仕切価格は、累計で8円50銭/リットルの値上げ(JX日鉱日石エネルギーの加重平均では4円70銭値上げ、軽油は3円40銭値上げ)が実施となり、この値上げを受けてガソリンの末端市況は160円相場が形成されつつあるが、160円が定着すれば、元売、販売業者ともマージンが確保されるため、業績回復が見込まれる。
4月~6月の決算では、原油価格(ドバイ)は103ドル/バーレルが(前年同月比は116ドル)で前年比13ドルの値下がり(12%減)、為替は99円/ドル(80円)で19円の円安(23%増)となり、円/キロリットル換算では原油価格は5000円程度のコスト増となっている。
原油価格は下落したが円安によるコスト増の影響が大きく、市況が低迷したためコストを回収できず業績が悪化した。また、前期の1月~3月の原油価格(108ドル)に比べると値下がりしたため、4月~5月は仕切価格が値下がり局面となったことも市況下落に拍車をかける要因となった。加えて不需要期であり、定期修理の時期であるにもかかわらず販売減から供給増となり、業転市況が急落したことで末端市況が下落した。
販売業者はマージン減の影響を受けて経営難となってきた。とくに、業転と系列仕切との価格差が拡大することになり、その是正を求める声が大きくなった。自民党石油流通問題議員連盟を通じての運動が功を奏して、公正取引委員会によるガソリン取引実態調査が行なわれ「業転の購入・販売の制限を緩和し、一定のルールを策定する必要がある」との改善策が提示された。
4月~6月の業績は、不需要期であるため例年低迷となる。前年同期は在庫評価損が発生したこともあり、大幅な赤字となった。原油価格の変動、需給バランスの崩れの影響を受けて、石油事業は一時的に赤字となるが、その後は改善されて1年間を通じてみると黒字となる
という体制が確立されてきたようである。
結果的には、現行の週決めの新しい仕切価格体系が浸透していることになる。ブランド料を加算したことで業転との価格差が4円程度あることが確認されているが、このブランド料によってマージン増となり、業績安定の決め手となっている。
製品輸出の増加は、海外市況次第で見通しは難しいが、ここにきて市況が堅調に推移しており、追い風が吹いている。さらに石油化学も好調であり、増益となったことで石油事業の赤字をカバーしている。
同じく石油開発事業も原油価格が100ドルを超えており、為替が100円前後の円安となれば利益は確実に確保できる。探鉱投資には巨額な資金を必要でありリスクが伴うが、生産中の油・ガス田から利益は確保できる。油田は生産開始時期がピークで、その後は減少するため、常に新しい油田を開発しなければ生産量が維持できない厳しい事業である。