日刊ニュース

2013.08.14 のニュース

業転購入のルール策定-系列販売を放棄することに-

 公正取引委員会は、「ガソリンの実態調査」に伴う報告書で、①元売は、仕切価格に含まれる販売関連コスト(ブランド料)を一方的に通知するのではなく、その額の決まり方について理解を得るため説明、意見交換を定期的に行なうことが必要である、②業転玉の扱いを制限・禁止するのではなく、一定のルールを策定する必要があるとして改善を求めている。まず、関係者での適切な対応を促す必要があるとして、資源エネルギー庁が元売に対してヒアリングを行なっているが、これらの問題について、簡単には解決策が出ることはないようである。
 関連コストについては、4円/リットル程度が設定されており、この4円差が業転と系列仕切価格との価格差となっているもので、販売業者からは2円程度への引き下げ要請が出ている。関連コストについては、品質、安定供給保障、宣伝費、販売促進費、カードシステムなどブランド価値が含まれている。その結果、元売マークを掲げたSSでは、元売が品質を保証することで、消費者を保護しており、また、品確法による自主検査が免除される利点がある。
 販売業者は、業転を値上げして系列仕切価格を値下げすることで4円の価格差を是正することを求めている。だが、この4円の価格差は、相場感として存在しているもので、仕切価格を値下げすると、業転も連動して値下がりする公算が強く、元売は仕切価格の引き下げには反対している。業転は安いことで流通しているもので、仕切価格を高くして安値分をカバーして全体では利益を確保している。業転を先行して値上げできるのは、供給不足の状況になる場合に限られ、平時ではありえない。仕切価格を先行して値下げすれば元売の収益構造が崩れる。
 週決めの新体系がスタートした2008年10月の時点では、業転市況に1円50銭~2円程度の販売関連コ
スト(ブランド料)を加算する方式を導入したが、コストが回収できず、元売が大赤字を経験している。
 その後に、ブランド料を4円程度に引き下げ、業転リンクから、原油価格の見通し、他社の対応など総合的な判断を加味してコストを算出する仕切改定方式を導入して、今日のように黒字が維持できる体制となった。このようにみると、業転と仕切との価格差を是正することに元売が反発して難しいが、小幅でも調整することが、唯一の改善策になるのではないかとの見方も出ている。
 一方、業転玉の取り扱いで「一律に制限・禁止するのではなく、一定のルールを策定する必要があると考える」との改善策を元売に提示している。だが「一定のルールの策定」となると、基準を定めて業転の購入・販売を認めることになり、系列販売を否定することになる。そのため、ルールを策定するための議論自体が、系列販売を放棄することになり、さらに商標権の問題へと発展する。系列販売を否定すれば、すべて業転扱いとなり、業転を何%まで認めるか否かの議論は成立しない。議論は元売と個々の販売者との話し合いでは、立場の違いもあって難しく、エネ庁が介入して調整することとなるが、これは時間もかかる。業転玉とは何かという定義づけも必要となるなど、業転を巡る議論での具体案提示には多くの問題がある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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