2013.08.20 のニュース
関連コストを丁寧に説明へ-難しい業転扱いのルール策定-
公正取引委員会は「ガソリン取引に関する調査報告書」のなかで、元売に対し、①仕切価格に含まれる販売関連コスト(ブランド料)を一方的に通知するのではなく、その額の決まり方について、理解を得るための説明・意見交換を定期的に行なうことが必要である、②業転玉の扱いを制限・禁止するのではなく、一定のルールを策定する必要があると指摘、改善策を求めている。
元売としては、関連コストに関しての説明を丁寧に行なうことで対応することになる。現行の週決めの価格体系の発足にしても、説明をして理解を得たものとなっているが、今回の調査結果では「十分な説明、情報提供がなされていなかった」とされているため、この点は、個別、もしくは特約店会など、説明・相談の場を設けることになりそうである。
報告書でも「元売に対する取引依存から、内訳等の説明を強く言い出せなかった状況にある。毎週の仕切価格の改定の通知ごとに交渉の機会を設けることは、現実的ではないが、意見交換の場を定期的に行なうことが必要である」と示唆している。
販売関連コストとして、現在4円/リットル程度が加算されており、これを2円程度に引き下げるべきとの要望が販売業者から出されているように一連の問題点の落とし所は、関連コストの引き下げとの見方もあるが、簡単には調整することが難しく、多くの問題を抱えている。
販売業者の本音は、仕切価格を値下げして業転を値上げすべきとの見方であるが、市況は、常に変動しており、思惑通り動くことはない。仮に販売関連コストを引き下げて仕切価格を値下げしたとしても、市況(業転)は、変動しているため業転が値上がりすることはなく、逆に値下がりする公算もあり、価格差が縮小するとは実証できない。業転も連動して下落することになる。業転市況は、需給に強く影響を受けるため、4月~5月のようにガソリン需給が緩和して供給増となった時期は、急落して仕切価格との格差が拡大したが、その影響で仕切価格も値下がりすることとなった。仕切価格を値下げすると業転も値下がりするため、簡単には仕切価格を値下げすることはできない。
仕切価格と業転は、通常は一定の価格差を保って推移している。最近は4円程度の相場感で定着しているが、緊急時は業転高となり、平時は業転安で推移する。足元のHCの販売価格が150円となっており、これは系列仕切価格(消費税込み)と同値であるため、この状況では公正な競争ができないとの不満がでるのが当然である。
また、業転の取り扱いについて、「一律に制限・禁止するのではなく、一定のルールを策定することが必要である」との改善策を元売に提示している。だが「一定のルールの策定」となると、基準を決めたうえで業転の購入・販売を認めることになり、系列販売を否定することになるため、ルールを策定するために議論すること自体が難しい。商標権の問題も絡んでおり、業転を何%まで容認するかなど、数量で定めることはありえない。元売と個々の販売業者との話し合いでは、立場の違いもあって難しく、資源エネルギー庁が調整することになったとしても、これも時間がかかることとなる。