2013.08.29 のニュース
75万規模の製油所誕生
今年度当初に国内26ヵ所、日量447・5万の原油処理能力を有していた製油所は、あと半年内に23ヵ所、393万という姿になる。いずれも10万を超える能力を有する製油所だったが、これが停止しても、まだまだ設備過剰という見方が強い。393万という原油処理能力は、90%稼働では年間2億500万㌔㍑という石油製品を製造する能力と同義だ。
エネ研最新見通しでは、今年度の内需は前年度比0・1%減の1億9730万㌔㍑、14年度は4・1%減の1億8910万㌔㍑としている。13年度が日量340万、14年度は326万という換算値だ。393万という削減後の能力も、90%稼働を前提にすると、すでに今年度末で15万過剰、14年度末時点で30万過剰という予見がされている。5年置きに50万削減という削減の輪廻に捉われてしまった外観がある。
10万を超える規模の製油所が止まる自治体の停滞感は、今回の3製油所の停止でも大きな痛みを伴っている。しかし、ポスト・エネルギー高度化法時代の製油所停止は、より困難な判断が必要になろう。残存した製油所の能力は、より大型化しているうえ、1製油所企業では。企業生命と重なる判断になるだろう。こうした削減の輪廻から解脱する手法は地域同業連携、化学連携、輸出がキーワードになっていくだろう。
少子高齢化、次世代自動車の増加という確定した未来図に対面する国内SSは、燃料油販売の領域では、この呪縛から抜け出すことは不可能だが、精製業は異なる。日本以外のアジア各地で、10万当たり数千億円、期間5年というケースも珍しくない製油所新設が進行しているが、その間隙を突いて、進撃可能な製油所への進化が促されている。
設備廃棄と並行的に、従来からのリニューアルや二次装置増強という手法の製油所次世代化から離れ、石油業界として、まず地域連携型に踏み込むべきだろう。製油所間を結節することで、千葉に75万、川崎、四日市、堺に各40万への単体統合が可能だ。統合して、国内最大の38万と化した水島モデルがある。水島を含めたこの5地域は、いずれも石油化学や鉄鋼、発電のコンビナート群を周辺に擁する。化学も鉄鋼も、アジア勢との競争によって、合従連衡・統合が施行されている。実質大型化した製油所群が、コンビナート競争力を牽引すべき時代だ。