2013.08.29 のニュース
灯油在庫は早めに積み増し-輸入難で国産生産品で対応ヘ-
灯油は、シーズン入り前の在庫積み増しが始まった。石連週報によると灯油在庫(17日)は280万キロリットルで、前週に比べると22万キロリットルの増加となった。大幅な増産で対応しており増産分が在庫積み増しとなった。その結果、前年比でも23万増となっている。元売は、灯油在庫は10月ごろを目安に積み増しをするが、昨年10月末は336万キロリットルとなっている。これから大手灯油販売業者、商社サイドも、同様に在庫を積み増してシーズンに備える。
今年は猛暑となったが、その年は厳冬になるとの喩えもあり、早めの積み増しとなった。為替が円安となっており、円建では海外市況が高値となり、製品輸出が好調であるが、逆に輸入は割高で難しくなるため、国内生産品で供給確保することになる。そのため在庫の積み増しが早まったとの見方もある。
灯油商戦は、天候次第で大きく販売数量が変わるため見通しは難しい。販売数量は、依然と電気・ガスヘの燃料転換が進むためマイナスが見込まれている。また、高値となると家庭用はユーザーが節約に取り組むことも予想される。昨シーズンは、前半の10~12月は、冷え込みから増販となったが、今年の2月は13%減(前年は閏年の反動)、3月も22%減(気温の上昇)と大幅な減少となったこともあり、平成24年度は3.2%減となった。
家庭用の灯油の購入は、その都度、現金で支払うため高値を意識され易くユーザーは節約する。電気・ガスも、同様に値上がりしているが、決済は自動引き落としとなっているため高値感は薄れる。また、産業用は、今後も省エネ、燃料転換が進むことになる。灯油の需要見通しでは、平成25年度は2.7%減、向こう5年間では年率で3.2%減、全体として15%減の見通しとなっている。
元売の灯油商戦への取り組みは、例年、需要減を背景に在庫を低位で確保して、需給をタイトにしている。シーズン終了直前まで我慢して供給を確保、不足した場合には、緊急輸入する方策で対応してきた。需給をタイトにすることで、供給増による値崩れを防止、採算販売に徹した対応で商戦に臨んでいた。今冬は輸入が難しくなりそうであるが、この見通しも、今後の原油価格、為替の動向によって大きく変わる。販売業者はこれから在庫を積み増しするが、夏場の安値で在庫を積み増し、シーズンに入って値上がりするのを待って、販売することで利益を確保するのが通常のパターンとなる。だが、この思惑がうまく当たればマージンが確保できるが、原油価格、為替が不透明であるため、見通しは難しい。夏場が安いとみて在庫を積み増したが、冬場に値下がりして逆ザヤとなり損失を被るケースもある。冬場の需要期で値上がりするとは限らないところが灯油商戦の難しさである。
最近では東日本大震災を機に、電気・ガスから灯油への転換が見込まれた。灯油ストーブが売れたため需要増が期待されたが、結局は空振りとなった。また、SSの減少によって安定供給の確保(過疎化問題)が議論されたが、地域の町村で対応するしか方策がなく、社会問題となっている。SS経営は赤字で存続ができず、廃業に追い込まれるケースは後を絶たず、SSの減少が続くなど安定供給での問題点が残っている。