2013.09.02 のニュース
原油暴走への助走なのか
売れないことに耐え切れず、いわゆる量販SSの一部が反転値下がりに動いた。各地から、こうした情報がじりじりと増えている。そんな中で、28日に原油相場が着火した。シリア-イラン-ホルムズ海峡という地政学的なリスクの連鎖はかねてからくすぶっていたが、この着火が序曲なのか、一過性の打ち上げ花火に終わるのかは、全く不透明だ。
SSとしては、今週末から、さらにその翌週の国内の石油製品卸相場に、久しぶりに棒上げシグナルが点灯したという事実をのみ注視し、近視眼的な廉売追従は無視すべきだろう。
中東産原油はここのところ、ほぼ100~110㌦の範囲内で、過去の履歴に照会すると、上下動が10%以内の値幅で、ほぼ安定的に推移していた。ところが、この水準でも、原油は過去2番目に高い水準であった。過去最高値は7月に150㌦寸前まで跳ね上がった5年前の2008年の夏だ。高値による消費節約が顕在化し、SSが氷結してしまったあの夏だ。
旧盆明け以降、記録的な酷暑・残暑は和らぎつつあるが、各地でゲリラ豪雨が牙を剥いている。水がめが空っぽになる危機に直面していた地域でも、ひとたびゲリラ豪雨に見舞われると、生活インフラが寸断され、地域を地滑りや浸水の危機に陥れるような変容ぶりだ。8月中旬までのガソリン内需は、猛暑によるエアコンのフル稼働で、間違いなく実力よりもかさ上げされたのだろうが、熱帯のスコールに相当するようなゲリラ豪雨など、旧盆明け以降の天候不順は、内需を下押しする方向に作用しつつある。
そこに、5年ぶりの原油高値が襲来しようとしている。数量面での不安よりも、尋常ではないレベルになるであろうこの原油高・卸高のほうが、確実にSS経営への影響度が高い。
第2次石油危機や湾岸危機の際の相場レベルは、おおよそ30㌦原油が10㌦値上がりして40㌦になるという価格変動だった。その値上がり率は30%強になる。現在の105㌦原油が、同じ値幅の115㌦に上がっても、値上がり率は10%に満たない。リスクを利回りとして活用するファンド手法が本格化して30%利回りを目指すと、いきなり135㌦というターゲットプライスが弾き出されてしまうのが、現在の原油相場だ。それに対するSSの備えは、粗利を削らない値付けに尽きる。