日刊ニュース

2013.09.05 のニュース

石油流通のここがおかしい

 業界内で供給過剰が中期的に発生した場合、それを放置すればするほど、その供給過剰をもたらしたメーカー自身、または製造業界全体の収益を棄損する。コメであろうが、鉄であろうが、セメントであろうが、紙パルプであろうが、液晶パネルや太陽光パネルであろうが、必ずやそうなる。かつて最強のカルテルと称されたOPEC石油輸出国機構でさえ、加盟国間の思惑で、その一部が過剰生産を継続して、市況が中期にわたって奈落に陥った経験を持つ。原油でさえ、その法則の内側にある。
 そういう事態に陥らないよう、リーディング・カンパニーやリーダーシップをとる国家が形成されていく。個別企業が行う合法的な調整機能として、今後の生産計画を公表したり、装置稼働率の上下動に言及する。下位メーカーは、自助努力の一環として、自らもその趣旨にならう。そうならない場合は、消耗戦の結果、資力の乏しい企業から退出することになっていくからだ。
 メーカー間が供給過剰状態を継続すると、いわゆる市中に生産物があふれ、製造原価とは関係なく卸価格が下降していく。その波動を上手に利用して、卸や小売は収益構造を良化させるために、情報を集め知恵を絞る。卸や小売サイドは、長年取引を継続するメーカーの先行きを心配することはあっても、決して「生産を絞れ」「業転を出すな」とは言わないだろう。メーカーは深く傷つくことになるが、一般的に流通小売の傷はそれよりも浅く、中にはこれをビジネス・チャンスとして飛躍する強者も出てくる。大手小売流通グループの黎明期に出てくるサクセス・ストーリだ。
 国内石油市場は、どうなっているのか。
 なぜ、供給過剰の負の部分が小売業に、中でも個別メーカに依存する系列に、その多くが押し寄せてしまうのか。なぜ、小売業が「業転を出すな」「供給過剰体質を解消せよ」という悲鳴を発する今日の姿になってしまうのか。そうした悲鳴を、行政にも国政にも発しないと、小売の経営が立ち行かなくなってしまうから、そうするしか術がないのだ。
 他の業界にはない特殊な流通構造になっているからなのか、どこかがおかしい。供給過剰を是正しない者が最も痛手を負う流通の仕組み、供給過剰の痛みがメーカーにのみ帰属する仕組みへの衣替えが必要だ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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