2013.09.06 のニュース
26年度地熱開発の予算は増額-石油業界も積極的に取り組む-
地熱開発関連の平成26年度予算要求は、169億円(25年度は113億円)で25年度に比べ56億円の増額、財投は150億円(80億円)で70億円の増額となっている。項目別でみると、地熱発電の促進に向けた調査支援では75億円(同額)となり、初期調査は4分3を補助する。また、発電技術開発で30億円(1O億円)を要求している。JOGMECによる探査に係わる財投出資では150億円(80億円)と70億円の増額となり、探鉱段階で50%を出資、発電設備の建設では債務保証(80%以内)を行なう。地域理解促進で30億円(28億円)。新規では環境アセスメントの実証で34億円を要求している。
石油業界で地熱開発事業を運営しているのは、出光興産が大分で実施しているのみである。過去においては石油資源開発が鹿児島・山川町で運営していたが、九州電力に売却しており、商業化は難しい事業である。現在、全国で地熱開発が進捗している開発地点は24地点あり、JX日鉱日石金属、石油資源開発、国際石油開発帝石、出光興産、三井石油開発などが参画して調査、作業に取り組んでいる。一方、25年度の開発理解促進の補助事業(一次公募)には25件が採択されており、現在も、二次公募を行なっている。また、地熱を利用したハウス栽培、融雪パイプの施設など設置、温泉事業者、第3セクターによる地域振興策の検討が行なわれており、経産省も予算を確保して積極的に取り組んでいる。
日本は火山国であり、世界有数の地熱資源を有しながら地熱による電力供給量は国内全体の総発電量の1%弱(50万KW)と少ない。蒸気を活用をするため、発電時のCO2排出量がゼロであるため環境適応性に優れ、設備利用容易率が他の再生可能エネルギーに比べ高いというメリットがある。
原発事故により、代替エネルギー源として注目されているが、開発が進まないのは、調査・探査・開発・生産(発電所の設置)までのリードタイムが長く、コスト回収が難しい点から商業化が厳しいとされている。だが、固定買取制度の実施で民間企業も取り組む方向が出てきた。
さらに、温泉地域であるため、温泉の源泉に影響を与えて温泉が止まることになれば営業ができなくなるとの懸念から、地元の温泉業者が開発に反対するケースも多い。開発する地域は国立、国定公園が多く、環境保全・美化の立場から開発に反対する地元住民の意見も多く出ている。また、環境省による許可も必要となるなど問題点も多い。そのため、経産省は地熱開発の促進を図るための支援策で予算を確保しており、地域の住民、温泉業者の理解を得るためのセミナーなども開催している。
固定買取制度が実施となり、再生可能エネルギーが普及しているが、大半が太陽光発電となっている。太陽光パネルを設置、送電線につなげば、即発電が可能となり、短期間にコストが回収できるため石油業界でも製油所、油槽所などの跡地利用として、太陽光発電に取り込んでいる。一方、地熱事業となると石油開発と同じようにリードタイムが長く、開発・生産には巨額のコストがかかり、リスクが伴うが、石油業界はエネルギー供給企業という立場で地熱開発に積極的に参画している。