日刊ニュース

2013.09.09 のニュース

良化促す差異、劣化促す差異

 月次のガソリン仕切りは3ヵ月連続の値上がりとなった。その累計はJXエネが9・9円、出光が8・5円、昭和シェルが9・8円で、公表する3社間の格差は1・4円。先週末のガソリン指標はEMG外販2・5円、EMG系列2・5円、JX先行据え置きで、格差は2・5円。同じ系列指標内でも、2・5円の適用があった先と小幅にとどまった先、適用ゼロというように差異が現れた。地域でも、この元売アナウンスにほぼ準じた先週末の値動きを見せた西日本に対して、東日本はその半値上げにとどまり、瞬間風速的に温度差が大きく表れた。
 いずれにせよ、それが系列SS支援に真摯に取り組んだ結果であるなら是であろうし、系列間に差異が出るのは至極当然と理解したい。寸分たがわず一致する必要はない。
 重質や軽質、硫黄分の多寡などの性状に応じて価格そのものが上下動する仕組みを有し、中東産が85%を占めるという日本の輸入事情がある限り、原油はほぼ一物一価であると理解する。常圧蒸留以外の製油所の特殊能力があるにしても、そこから生み出される付加価値の大小は、恐らく㍑1円に満たない収益の大小となろうから、ほとんど価格差のない状態でメイド・イン・ジャパンのガソリンは生産されるだろう。
 国内におけるこの製油所の原油処理能力と二次装置について、その適正化を促すエネルギー高度化法に沿った来年3月末までの対応が、各社ほぼ出揃った概況となっているが、その対応について、2つの対応に分かれる結果となった。分母に相当する原油処理能力を削減したJX、出光、昭和シェルの3社、分子に相当する二次装置を増強した東燃ゼネラルとコスモの2社である。こうした差異はいただけない。
 二次装置の増強という選択肢は、白油の生産力を増強することとほぼ同義だ。原発停止を補う火力向けの特殊需要が剥がれて、重油の大幅内需減が見えている。白油でさえ、伸び代が残るのはジェット燃料ぐらいだろう。製品輸出という希望的観測が崩れた場合はどうなのか。高度化法のタイムリミットから即座に、自社系列内でさばくことは不可能になるのではないか。
 身の丈に合った生産力とは、自己完結型の生産力であろう。残念ながら、ポスト高度化法後、即座に過剰、余剰という言葉が浮上するだろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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