日刊ニュース

2013.09.10 のニュース

業転との価格差問題の落とし所-ブランド料の引き下げか-

 販売業界から、ガソリンの業転と系列仕切の価格差縮小の要望が出ているが、これを受けて、元売が価格体系の見直しを検討しており、ブランド料(販売関連コスト)を引き下げることで対応することになりそうである。ブランド料は約4円/リットルとなっており、この4円の価格差が業転と系列仕切との価格差となっている。販売業者が「ブランド料を引き下げるか、これが無理であれば業転の購入・販売を自由にすべきである」と要望しているものである。
 元売は品質保証、商標権から業転の扱いを禁止しているが、公取委のガソリン取引の調査報告では「一律に制限・禁止するのではなく、特約店との間で一定のルールを策定する必要がある。仕切価格の設定に当たっては、情報開示や交渉が行なわれていない場合がみられるため、十分な説明を行なう必要がある」と指摘、元売に改善策を求めている。
 元売の回答は、11日に行なわれる自民党石油流通問題議員連盟の会合で、公取委から報告が行なわれる予定である。元売は業転の扱いについてのルール策定は難しいことから、ブランド料の引き下げで対応するのではないかとみられており、業転問題の落とし所となりそうである。販売業者も業転と仕切価格との価格差を問題にしており、業転の購入を強く要求しているものではない。業転を実際に購入するとなると、現金取引となり、資金面、安定供給、品質確保などの問題点も多く、品質確保については自主検査も必要となる。
 ブランド料は、幾らが妥当であるかの議論となるが、これは元売と販売業者との立場によって大きく違う。元売は設備費、広告宣伝費、カードシステムの運営費を勘案して4円で設定しているが、販売業者は1~2円が妥当とみている。
 ブランド料は、現行の週決め新体系がスタートした08年10月時点では1.5円~2円/リットルであった。仕切価格の設定は、業転、東京商品取引所の先物市況を基準に輸送費、インセンティブなどコスト加算されて設定された。また、数量割引きも縮小されたことで、一般の仕切価格は業転に近づくことになり、中小業者からは歓迎された。一方、大手業者、商社系にとっては不利となったため反発も出た。しかし、スタート直後から原油価格が下落局面であったこともあり、仕切価格に連動する業転、先物が急落したため混迷、元売の業績は赤字が続いた。その後、業績の回復、コストの回収、適正マージンの確保を狙って、10年10月からは仕切価格の体系を見直し、新・新体系に移行することになり、コストに業転、原油の見通し、などを加味した上で、他社の動きなど総合的な判断をしたものに変更した。これによってブランド料は4円に引き上げられた。その結果、元売の業績は回復して安定収益を確保している。
 体系の見直しを機に、販売業界からは「ブランド料が高過ぎるため引き下げるべきである」との要望が出た。ブランド料を4円に引き上げたことで、業転と系列仕切との価格差が拡大、4~5円の価格差が定着している。この価格差の是正を求めているが、8月31日からJXが仕切価格を据え置いたことで、結果的には業転との価格差が圧縮されたとの見方となるが、説明がなされていないため不透明な状況となっている。

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