2013.09.11 のニュース
ブランド料の引き下げ幅が焦点 -元売、厳しい決断が求められる-
ガソリンの業転と系列仕切の価格差問題解決のため、販売業者から仕切価格の引き下げ要請が出ているが、元売は、仕切価格に含まれているブランド料(4円/リットル程度)を引き下げる方向で対応することになるようである。元売は1円程度の引き下げを目論んでいるが、販売業者は2~3円を見込んでおり、その差も大きい。どの程度調整するかが今後の問題となるが、元売と特約店との話し合いで決めることも難しく、元売の案で押し切られそうである。
結果的には、仕切価格を引き下げ、業転を値上げすることで調整することになるため、ブランド料(販売関連コスト)を引き下げることで対応することになり、販売業者の要望が受け入れられることになる。だが、業転市況は毎日変動しており、需給状況が大きく影響するため、双方の価格差が縮小され、実勢市況に、反映されたことを確認するには、当分の間、様子を見ないことには分からない。現在、双方の価格差が4~5円あるとみられているが、需給が緩和すると価格差が拡大し、タイトになると縮小する。
また、業転の解釈にも相違があり、販売業者は商社系・大手販売業者から経由して販売されている玉を業転とみている。一方、元売は商社とも特約契約を基にして供給しているため、業転ではなく系列玉との解釈を示す元売もある。商社には系列玉として供給しているが、その商社がどこに販売しているかは分らないため、追跡は不可能であるとしている。だが、販売業者からみると、これが業転玉として市場に流れており、安値販売の原因になると反論しているもので、水掛け論で終わっている。
公取委の調査では、業転とは、系列ルート以外の流通経路で流通するガソリンで、①商社等が元売から仕入、他の流通業者、SS等に販売するルート、②商社等が輸入し販売するルート、③先物市場で売り渡され、販売されるルートと定義している。
元売による系列販売は、約80%となっており、残りの20%が商社、業転業者などを経由して販売されていることになる。元売としても系列販売の仕切価格を引き下げることになると、大幅な減収、減益となるため、これらの減益分を業転の値上げでカバーすることになるが、業転が値上げできるのかは難しい判断となる。
ブランド料は、週決めの新体系がスタートした08年10月頃は1円50銭から2円であった。業転との価格差が少なく、中小業者が有利となり、商社、大手から反発が出た。その結果、元売のマージンは減少することになり、業績は赤字が続くことになった。その打開策として10年10月頃からブランド料を4円に引き上げて、今日に及んでいるもの。4円に引き上げたことで赤字から黒字に転換しており、ここで引き下げると、再び赤字転落が懸念される。
ブランド料を引き下げて、業転が値上がりすることは確約できるわけではない。業転を値上げするためには、一段の需給調整が求められる。
エネルギー高度化法による精製設備の処理計画が来年3月末までに実施となるが、その結果、原油は処理減となり、製品需給はタイトとなる。だが、ガソリンの需給が締まるかは、様子をみないと分らない。元売としても、価格差問題の解消に向けて厳しい決断をすることになる。