日刊ニュース

2013.09.13 のニュース

「国際LXG共同研究会」を設置-共同調達で価格安定を狙う-

 第2回LNG産消会議は10日、グランドプリンスホテル新高輪で開催された。昨年9月に初会合が開催され、福島原発事故の影響によるLNG価格の上昇について、調達策を含めたLNG市場の課題などを産ガス国と消費国が一堂に会して議論した。産ガス国がLNGの供給確保に理解を示し、消費国との関係強化の役割を果たした。今回は2回目であり、さらに議論を深め、LNG市場をより透明かつ持続可能な市場として発展させるための積極的な議論が交わされた。
 茂木経産大臣は「消費国の連携強化によって、高値のLNGからの脱却、低価格での安定的なLNGの確保が重要である。9日にはインドのモイリー石油天然ガス大臣との会談で、アジアプレミアの解消に向けた研究成果などで共同声明に署名した。また、エネ研による消費国の専門家を集めた『国際LNG共同研究会』立ち上げの提案を経産省としても歓迎する」と述べた。さらに「今秋から、省内でもこの研究会に協調しLNG輸入業者による共同調達を進める方策を検討する」と加えた。
 日本のLNG価格は、百万BTU当たり16.3ドルで米国の3.8ドルに比べると4倍強の高値であり、これに液化、輸送コストを加味してさらに高い状況が続いている。原油価格、LNGの値上がりと輸入増で、昨年度の貿易赤字は8.2兆円に拡大した。燃料費の高騰は電力料金の値上がりとなり、これに耐えられないと企業・工場が海外移転を増加させることなり、雇用問題など日本経済に大きな影響を与える。
 一方、政府も資源確保に積極的に取り組み、安倍総理は米国、中東を訪問、資源外交を展開している。その成果もあり、米国政府は今年5月に、日本への輸出が見込まれるフリーポートのプロジェクト(大阪ガス、中電が計440万トンの契約を提携)については、米国政府が輸出を承認した。残るコーポインド(住商、東京ガスが計230万トン)、キャメロン(三菱商事、三井物産が800万トンの2つのLNGプロジェトも早期承認を要請している。だが、実際の輸出は、2017年以降となっており、まだ時間がかかることが課題となっている。この3つのプロジェクトで輸出可能となると、年間約1500万トンとなり、日本の輸入量の3割に相当する規模となる。その他、カナダには、日本の石油企業の出光興産、石油資源開発、国際石油開発帝石などがプロジェクトに取り組んでいる。さらにロシア、モザンビークなどにも参画する計画もある。
 幸いアメリカでのシェール革命を契機に、世界のLNG市場は、供給増となり競争が展開されるなど新しい状況となっている。福島の原発事故がなければLNG価格は、供給増で値下がりするシナリオもあったが、原発の停止で一気に状況が急変したことになる。これにより、短期的にはLNGの低価格で安定的な供給確保が最重要課題となっている。
 経産省は平成26年度予算として、JOGMECを通じて探鉱・資産買収の出資金で620億円、天然ガスの資産買収で財投枠から500億円を要求している。リスクマネーの供給強化とLNGの低廉調達に繋がるプロジェクトに向け1兆円の債務保証枠を設定して、ファイナンス面からもサポートしている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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