日刊ニュース

2013.09.17 のニュース

SSの魅力損なう低口銭体質

自動車関連ビジネスを油外収益の中軸に据える石油販売業者にとって、カーディーラーが車販以外、いわば“車外収益”のストックビジネスと呼ぶサービス分野に一層力を入れてきたことは、念頭に置く必要があろう。自販連・自動車ディーラービジョン調査によると、新車購入者の車検入庫率は初回69%。裏返せば3割のユーザーが購入先を離れていることになり、特に若年層ほどこの傾向が見られるという。2回目入庫率は60%、3、4回目は各55%。大雑把にみて半数は定着している様子がうかがえるから、2回目車検までの間の点検整備ニーズを我が業界でフォローアップすることがポイントになりそうだ。
 同調査報告書が顧客流出策として最も着眼しているのはスタッフの育成だ。特に若年ユーザーは、メーカー系正規販売店のブランド力を信頼の価値と捉えない様子がうかがえ、将来的にもスタッフを介した信頼感の醸成に比重を置く必要性が一層高まると分析。流出防止策の好事例として挙げたのは「目先の数字でなく、顧客定着化による長期的効果を考えた活動」「価格ではなく人で売る」「雑談ができるパーソナルな関係づくり」「疎遠顧客への訪問」「タブレット端末を活用した提案」「コーティング潜在需要の開拓」「サービス待ち時間の快適性による差別化」「商品力よりもスタッフの提案力」。我々もよく聞いている、言っているフレーズが並ぶが、ディーラーの底力は決して軽視できない。
 懸念するのは“集客ツールとしての洗車”提案。ユーザーの洗車頻度は月1回以上が4割強、3ヵ月に1回以上まで含めると7割に達し、「ディーラーに来てもらうには十分な頻度」と指摘。ユーザー調査の結果、洗車方法は「自宅車庫での手洗い」(39%)、「SSの洗車機」(35%)、「SSでの手洗い」(6%)などと拮抗しているから、SS油外の牙城に踏み込む意図が見え隠れする。彼らが描く将来ビジョンは「自動車総合サービス業への脱皮」だ。ユーザーがディーラーに期待する役割として有意義だと思う項目では「ガソリンや灯油の販売」が多数挙げられ、近隣SSの廃止をカバーする拠点化も視野に入る。
 外部から見た一連の指摘は、SS業界が目指す方向性に魅力があることを示唆している。これに燃料油収益が伴ってくれば、元気回復を実現できるはずなのに…。

提供元:全国石油商業組合連合会
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