2013.09.17 のニュース
ブランド料1円下げで中小は有利-業転値上がりで大手業者は不利に-
10月から仕切価格の体系の見直しで、ブランド料が1円/リットルの値下げとなる。思惑通りに業転と系列仕切の価格差縮小となれば、中小特約店には有利に働き、商社系、大手販売業者には不利となりそうであり、流通段階での混迷も予想される。また、新しい体系への移行に伴う、発射台となる9月末の仕切価格も重要となる。
体系に移行するスタート時の仕切価格の設定は、9月末、10月初めのコスト変動で値上げか、値下げかに影響されるが、ブランド料の1円の引き下げを反映させることになる。だが、その時点でのコスト変動が2~3円と大幅となると、ブランド料の1円引き下げが相殺されることとなり、明確に実施されたか否かを把握するのは難しい状況にもなりかねない。コストの変動がない場合は、1円の引き下げがハッキリする。
今回の措置は、業転と系列仕切価格との価格差の是正であるため、その結果が実感できることになるのは、販売業者による調査が必要となるため時間もかかり、少し期間が経過した後となる。一方、仕切価格と比較する業転市況は、常に変動しており、調査のタイミングによっては実態とは違った数値が出ることもあるため、安定した時期での実態調査を待つことになる。
元売サイドは、80%の販売シェアを占める系列特約店の仕切価格を1円引き下げることで巨額な減益となるため、業転を値上げすることではカバーはできない。文字通り「1円の重み」が試されることになる。
業転市況の値上がりを見込むことになるが、そのためには需給調整が重要となる。ガソリン販売は増販が見込まれず、減産対応で各社間の足並みが揃うかも問題となる。ブランド料の引き下げで実質仕切価格は値下げとなるが、思惑通り業転が値上がりすれば、収益減をカバーできるが、仕切価格が値下がると、業転も連動して値下がりするなど最悪のシナリオも懸念される。
また、業転と系列仕切価格の価格差が縮小することは、商社系、問屋機能を持ち、サブヘの卸を行なっている大手販売業者にとっては不利となる。数量割引きの幅が縮小となるため、大手からは不満が出るものと思われる。今回の措置は中小規模の特約店が有利となり、商社、大手業者が不利となる構図となっている。
業転と系列仕切の価格差が生じているということは、その価格差で、商社、大手業者がマージンを確保できることになり、業容が拡大している。最近ではHC、無印、プライベートブランドSSが増加しており、商社系のシェアが拡大しているが、その影響で中小の特約店が苦戦して規模が減少している実態である。
業転玉の流通が減少、業転市況が値上がりすれば、元売、販売業界の健全な発展に繋がるとの目標を目指すことになる、週決めの価格体系がスタートした時点では、ブランド料は2円程度であり、業転との価格差が少なく、数量割引きも縮小して、中小業者が有利となるため歓迎されていたが、結果的には業転玉が大量に流通することになり、その価格差は4~5円となった。今回のブランド料1円の引き下げで、基本的には再度、スタート時の方向に戻ることとなったが、元売、販売業者が黒字体質になることが期待されている。