日刊ニュース

2013.09.18 のニュース

業転問題は平行線が続く-全石連と元売各社との調整ヘ-

 公取委によるガソリン取引の実態調査に基づき、元売に業転の扱いについてのルール策定などの改善策を求めたが、明解な回答が得られず膠着状態が続いている。11日には自民党石油流通問題議員連盟が党会館で役員会を開催、公取委から元売の対応策を聞いたが、明解な回答は得られなかった。そのため今後はスピード感を持って対応、年内を目途に解決を急ぐことになり、全石連と元売各社が話し合うことになる。
 業転玉の扱いについて公取委の報告では「一律に制限・禁止するのではなく、一定のルールを策定すべきである」と提言していた。だが、元売サイドは業転の容認を前提としたルール策定には、ブランド価値、商標権、消費者保護の立場から反対しており、平行線を辿っている。
 この業転問題については、元売が業転を容認するルールづくりに反対しているため調整は難しく、ルールが策定できるか否かは不明である。販売業者サイドでは、①元売間では共同油槽所の活用、ジョイントなどによって混合されたガソリンを実際に販売している、②業転玉は元売から販売されており、品質面からは元売系列玉と変わりない、③そのために業転玉の流通経路を証明することで品質を保証する方策を採択すべきとの意見も出ている。元売は、品質保障、ブランド価値を理由に、業転玉の系列SSでの販売を禁止する立場をとっている。
 このように業転玉の扱いを巡っては、調整の難航が必至であるため、その代案として、販売業者から要望の出ている業転と系列仕切の価格差是正については、JXがガソリン、軽油(SS店頭売り限定)のブランド料を1円引き下げる方針が伝えられているが、他社は静観の構えで様子をみている。
 販売業者サイドでは、ブランド料を1円引き下げではなく2~3円に引き下げるべきとの要請も出ているが、元売と特約店との、個別の商取引きであるため、全石連、石商などの団体が介入するには限界がある。JXが10月からの実施を伝えているため、仮に実施となった場合には、他の元売も、即引き下げは難しいとしても追随することになりそうである。しかし、元売間でも、ブランド料として明確に提示しているケースもあるが、ハッキリと提示していない元売もあるなど対応にはバラツキが生じている。元売としては原価の問題であり。説明を求められても、明解な回答を避けている。
 ガソリンは市況商品であるため、価格設定はコストとの連動とは別に需給に影響される。そのためコストの変動のみでは仕切価格を設定できない面もある。また、ブランド料を引き下げても、その後の仕切価格の改定のなかで1円程度の変動は、吸収されることもありうる。現に8月31日からのガソリンの仕切価格の改定では、JXが据え置きとしたが、他社は2円50銭の値上げをしており、大幅な格差が生じた例もある。したがって、今回のブランド料1円引き下げによる業転の価格差を調整するという方策が成り立つ。
 だが、ブランド料1円の引き下げもマクロでみれば、ガソリンの年間販売数量が約5600万キロリットルあるため、全体で約560億円という大幅な減益となる。元売の業績に大きく影響することとなる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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