2013.09.20 のニュース
流通問題 業転と系列との価格差問題 公取委との連携で対応も
石油流通問題については、足元で問題となっている卸価格の決定方法の不透明性・業転格差などについて実態を説明した。
国内石油需要の減少傾向、原油精製の供給能力過剰等を背景に、石油製品の需要を上回る生産余剰分がいわゆる「業転玉」として、系列SSに供給される「系列玉」よりも安い卸価格で市場に流通している。
公正取引委員会「ガソリンの流通実態に関する調査報告書」(平成25年7月)は、こうした卸価格の状況等に対しては、
▼「系列特約店間における仕切価格を、形態別(販売子会社、商社系特約店及び一般特約店)にみると、商社系特約店に対する仕切価格が最も低く、次に販売子会社に対する仕切価格が低く、一般特約店に対する仕切価格が最も高かった」
▼「元売が、系列特約店、特に一般特約店にとって相対的に高い仕切価格を設定し、その仕切価格の設定に当たり十分な情報の開示や交渉が行なわれていない場合がみられた」
▼「また、元売は、自社が精製したガソリンを商社に販売し、それが安価な業転玉としてPBSSに供給されている一方で、系列特約店に対しては業転玉の購入・販売を制限している」
▼「これらの行為は、一般的にみて、取引上優越した立場にある元売が、一般特約店に対し、一方的に、競争上不利な取引条件を課しているおそれのあるものであり、ガソリンの流通市場における公正な競争環境を整備するという観点からみて不適切であると考えられる」
との指摘を紹介した。
このような指摘を踏まえ、独占禁止法に違反する疑いのある卸価格の価格差が存在する場合には、公正取引委員会とも連携して対応するとともに、地域の安定供給を担う意識と意欲のあるSS事業者がその役割を果たすため、それぞれのSS事業者が自己責任と契約意識に基づいた自由な選択を行なえるような環境を整備することが必要と示唆している。
次世代SSについては、
▼電気自動車(EV)をはじめ、次世代自動車の普及等により石油製品の国内需要は減少傾向にあり、こうした外部の環境変化に対応し、燃料販売のみに依存しないビジネスへの転換を図るべく、充電ネットワークの構築・連携やEV点検サービスなどによる集客効果の検証等の実証事業を実施している。
▼石油販売業は、水素の供給拠点としての役割を担う「総合エネルギー販売業」として発展していくことや、地域におけるエネルギー供給拠点として車検・タイヤ販売といった車関連事業のみならず、消費者との直接的なつながりを有する「強み」を活かした新たな事業の開拓も期待されると実証事業の成果を期待している。