日刊ニュース

2013.09.30 のニュース

数量割引き縮小は大手、商社が不利-業転の値上がりはサブに影響も-

 JX日鉱日石エネルギーが販売関連コスト(ブランド料)を1円/リットル引き下げるが、同じく特約店間の価格差を縮小することは、数量割引きが縮小されることで実質値上げとなる。そのため、この数量割引きの縮小を巡っては同じ系列内でも中小業者は歓迎するが、大手販売業者、商社系からは不利となり反発が出ている。
 ブランド料の1円引き下げは、原価を引き下げることになり、仕切価格が1円値下がりすることになる。このブランド料の引き下げは、業転を値上げすることで仕切との価格差縮小を狙ったものである。ブランド料の引き下げに対しては、業転の値上がりか他油種の値上げで合理化しなければ元売の業績は悪化する。また、数量割引きを縮小することは、大口向けが実質値上げとなり、業転の値上がりにも繋がることになる。大口の仕切価格が値上げされることになると、大手業者は、傘下の販売店(サブ)への仕切価格の値上げで対応するが、これが難しいとマージン減となり経営が悪化する。商社系も多くの販売店を傘下にしてプライベートブランドで販売しており、大口向け、業転が値上がりすることでマージンが減少、経営が厳しくなる。小規模の販売店(サブ)では、大口(業転)が値上がりすることで仕切価格が値上がりとなる。このように業転を手当てしている業者は、同じ販売業界でも利害が反するケースが出てくる。
 今回の対応はJXが先行して実施となるが、他社が追随することになれば系列高の業転安が是正されることになる。その前提は需給がタイトになり、業転玉の出回りが減少することである。現在、系列販売が80%、業転が20%という比率となっており、業転比率は拡大・浸透しており、ルートも定着しているため簡単に業転を減らすことは難しい。
 業転の定義は各社まちまちであり、業転は扱っていないという元売もある。だが、業転の解釈を議論しても意味がなく、実態としてHC、無印SSなどが増加しており、これらのところにはガソリンが供給されている。一部は、輸入品もあるが、ほとんどが国内生産品であり、元売から出荷(販売)されている。そのため、品質が保証されており、不良ガソリンはほとんど存在していない。元売間でのジョイント、共同油槽所の利用など、各社の製品が混合して流通しているのが実態である。
 公取委は、業転玉の購入・販売を元売が一方的に禁止すべきでないとの見解を示しているが、さらに、業転玉を販売する際の品質検査の義務づけを緩和すべきとの意見も出ている。しかし、業転との価格差是正の決め手は、需給を締めることになるため、最終的には高度化法による設備処理の成果が期待される。だが、来年3月末には設備(トッパー)処理が完了するが、2次設備は増強するため、ガソリンの供給増が解消するか否かを疑問視するむきもある。
 そのため業転玉の流れに沿って、各段階で供給ルートを証明(物流経路証明書の添付)する措置を講じることで、製品(品質)を保証する案も出ている。結果的には供給ルートが明らかになることで、これまで不透明であった供給先が解明される。これにより、出荷している元売が自粛することになるが、供給ルートが複雑となると実効性が問われる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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