日刊ニュース

2013.10.08 のニュース

消費税転嫁で外税表示の特例 不信感と価格競争の要因に

 消費税は総額表示(消費税込みの内税方式)と定められているが、税率引き上げに伴い、外税表示(消費税抜き価格)が特例として3年間認められる。石商ペースでは、現行の総額表示で対応する方向にあるが、無印SSなど非組合員では、安値感をユーザーに与える狙いで、消費税を除いた外税表示にするSSが出現することも予想される。
 この外税表示は10月から可能となっているが、実質的には消費増税が実施される来年4月からとみられ、時間的な余裕があることから販売業者サイドも関心が薄い。だが、具体的に外税方式での表示が出てくると、SS業界も混乱が予想される。
 消費税がスタートした際(3%)には外税方式であったが、5%に引き上げられた時点で現在の総額方式となった。この切り替え時期でも、SS店頭では外税表示をしてるケースも残り問題となったが、法律で定めてあることから総額表示に切り替えて決着した。現在は、総額表示が定着しているためユーザーも慣れているが、今後、2通りの方式で実施となるとユーザーも混乱する。小売業も百貨店(総額)とスーパー(外税)は違う対応をするとみられており、業種、個々の店によってバラツキが生じることとなる。
 SS業界では、大半は元売のPOSに組み込まれているため、元売の方針に沿った総額表示となる。だが、無印SS、プライベートSSなどは、独自の決済が可能であるため、割安感を訴える目的で外税表示を採用するSSが散見されそうである。現在のガソリン仕切価格を140円とすると、5%の消費税7円か加算されて147円となる。これが8%となると消費税は約11円となり、151円で4円の値上がりとなる。消費税分をそのままユーザーに転嫁すると4円の大幅値上げとなることから、苦戦が必至と予想される。 来年4月の消費税の引き上げ時の原油価格、為替の動向にもよるが、大幅な値上がりとなる。最近では原油価格の上昇で、仕切価格は7月累計で8円50銭の大幅な値上げ、平均では5円弱の値上げとなり、ユーザー転嫁に取り組んで浸透させたが、消費税分の転嫁は厳しいとみられている。税金の転嫁であるため堂々と取り込むが、減販傾向が続いているため、消費税の引き上げによって減販が加速すると懸念されている。
 このような状況を背景に、販売価格が値下がりしたかのように見える外税表示が散見することも十分予想される。表示価格だけでみれば大幅な価格差が生じることになる。ユーザーとしても、外税表示と知らずに給油して、支払い段階で消費税が加算され高値となると、逆に反感を抱くことになる。
 外税表示による割安感の演出を狙ったものとなるが、ユーザーにとっては混乱の要因となる。そのため現行の総額表示でまとまることが望まれる。大勢は総額表示となるが、安値販売を商法としている無印SSはどうしても外税価格を表示して、販売価格が安値であるという印象を与える方策をとることになる。その結果、SSでの販売価格が多重となり、ユーザーに不信感を与えることになる。多重価格については以前にもユーザーから反発が出て自粛した経緯もあり、また、価格競争に発展しかねないため慎むべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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