2013.10.10 のニュース
資源エネルギー庁通達の重み
資源エネルギー庁は9月19~20日にかけて元売8社を呼び、各社社長あての石油流通課長・石油精製備蓄課長連名の通達を手渡した。「ガソリンの取引に関する公正な競争の確保について」というタイトルの通達文書である。元売に対し、系列特約店との取引における現行の問題点への改善策と対応を求めるとともに、系列取引の透明化のために製品の商流・物流の証明書を添付するよう求めたものだが、これまでエネ庁が出した公正競争確保に関する要請文とは、比較できないほど画期的な通達である。
自民党の石油流通問題議連が、業転格差の拡大や系列取引の矛盾点について「抜本的な改善が必要」と指摘したことを受けて、公取委は7月、「ガソリンの取引に関する調査について」と題する報告書を発表し、元売に対して系列取引に関する改善策を示した。今回のエネ庁通達は所管省として、その指摘を具体的に実効性のあるものとするために行ったものである。
公取委報告書では、元売が系列特約店における業転玉の取扱いを一律に制限・禁止することは「一方的に、競争上不利な取引条件を課しているおそれのあるものであり、ガソリンの流通市場における公正な競争環境を整備するという観点からみて不適切である」と断じた。さらに、これらの行為の中で「不当に一般特約店に不利益を与えるなどの独禁法に違反する具体的事実に接した場合には、厳正に対処する」とも警告した。
この指摘を踏まえてエネ庁は、元売が、一方的な取引停止やSSの運営委託の解除、卸売価格の引き上げ、POSシステムの利用停止などの行為や、今後の取引などに影響が及ぶと系列特約店に受け取られるような通知をすることなど、独禁法に違反する疑いのある行為は行わないよう求めた。公取委が「競争上不利な取引条件を課している」と表現した部分を、エネ庁は販売業界などからの声を受けて、具体的に示したのである。
エネ庁が元売各社に対し、独禁法に違反する疑いのある行為を行わないよう、これほど強く具体的に通達したことはかつてなかったことであり、石油流通市場の適正化に向けて非常に大きな意味を持っている。
今後、系列特約店が業転玉を購入した場合に、元売各社がどのように対応するのか、このエネ庁通達の重みが問われることになる。