2013.10.11 のニュース
設備処理後の効率化を狙うが-製品輸出入設備の増強が重要に-
エネルギー高度化法により来年3月末までには精製能力の削減、製油所の閉鎖が行なわれるが、残った製油所での効率化、国際競争力アップを狙った増強策に取り組む動きが出てきた。内需は減少する一方であり、これに代わって外需(輸出)、石油化学分野への拡大、石油開発、電気・ガスなどでの事業展開により総合エネルギー産業を目指すことになるが、実現するには投資資金とタイミングと努力が必要となる。
出光興産は、北海道製油所の石油製品の入出荷設備の増強を発表した。高度化法の施行に伴い徳山製油所の停止となるため、北海道が供給拠点となるため陸上、海上の出荷設備の増強、製品タンクの大型化を図ることになる。
また、製油所の効率化を狙って連接するコスモ石油の千葉製油所と極東石油の千葉製油所が共同事業の検討を開始することになった。この計画は経産省が、来年度の新政策として打ち出し予算要求している「複数の製油所等が統合型運営する設備の最適化、高付加価値化を進めるための地域・資本の壁を越えた連携強化を支援する政策」に呼応したものである。今までも石油コンビナート間の連携強化策としてパイプラインの建設など構造改善事業には支援してきたが、それをさらに拡大したものである。新しく「複数事業所の統合型運営」の支援と定義づけている。
日本の製油所は本来、消費地精製方式を基本に建設されている。原油を輸入して、精製して消費(国内販売)することを目標としており、石油化学とはコンビナートを形成しているが、個別の企業での連携となっている。今回は統合型の運営を目的としているもの。
製品輸出の拡大も、設備の効率アップでは有力な方策となっている。しかし、現在の製油所立地は、製品輸出を想定していないため、輸出設備は保有していない。用地の確保から規模的に大型化が難しく国際競争力は弱い立場にある。
石油製品の輸出入が自由化されたことに加え国内需要が減少しており、設備過剰問題が台頭してきたが、設備を処理することで、国内の需給バランスを安定化させることになった。だが、国内需要は今後も減少が続くため、設備処理問題はエンドレスとなる。その流れを断ち切るためにも次の施策としては、設備の高度化による付加価値のある製品(白油製品)の増産、輸出の拡大が重要となり、輸出設備を増強する方針となった。当面の製品輸出は、海外市況と円安によってジェット燃料、軽油が好調であるが一過性のものであり、恒久的な製品輸出のルート確保が求められている。
一方、東日本大震災を経験したこともあり、緊急時対応では製品輸入用の設備も必要となる。この点でも同様に、製品輸入を想定していないため輸入施設は完備してない。灯油など供給不足になった場合に輸入するのみである。ただし、商社は、国内市況と海外市況をみて利益が見込まれれば輸入を行なっている。
設備処理を進め効率化を追求することになれば、その反面、製品備蓄の拡大、輸入設備の増強が必要となる。国備で製品備蓄を増強しているが、石油各社も製品輸入設備、在庫を確保することも、今後、必要となってくる。