2013.10.21 のニュース
冷え込み早く、灯油の増販を期待-仕切価格の値上げも本格化-
台風26号は16日に到来、伊豆大島で多数の死者が出るなど、関東・東北の太平洋沿いなどに大きな被害が出た。首都圏の交通機関、東北地方の農作物にも被害も出るなど、今年は台風の発生が多く、天候不順でガソリン販売に影響が出ている。7~8月は猛暑で増販となったが、9~10月は販売減となっている。
一方、北海道では16日には、昨年に比べて1ヵ月も早く初雪が降り、早くも灯油シーズン入りとなりそうである。猛暑の年は、厳冬となるとのたとえもあり、早い冷え込みが期待されている。ガソリン販売も、猛暑、好天候が増販に繋がるが、灯油の場合は、冷え込みが直接増販につながるため天候次第となる。
灯油在庫は320キロリットル程度を確保しており、シーズン入りに備えている。販売数量は、電気・ガスの燃料転換が進み、基調は減販が続く見通しであるが、燃料転換も一巡しており、東日本大震災後は灯油の需要回帰の動きもあり、厳冬になれば増販も期待できる状況にある。
ただ、販売価格が100円/リットル(18リットルで1800円)、配達価格は100円(約2000円)となっており、さらに値上がりすると、高値感からユーザーの節約による減販が心配となる。今後の販売価格については原油価格、為替の動向次第であるため見通しは難しい。原油価格はドバイで107~108ドル/バーレル、為替は97~
98円/ドルで安定して推移しているが、灯油価格は例年、シしスン入り前から値上がりとなる。
12日からの仕切価格の改定では、JX、出光がガソリンを3円40銭/リットルの値上げとしたが、灯油は4円~4円40銭と値上げ幅が大きくなっており、今後も灯油に加重して値上げする。そのため、夏場の「ガソリン高の灯油安」の体系から「ガソリン安の灯油高」の体系に変わることになる。すでに先物は灯油が80円、ガソリンが78円と灯油高へと逆転しているが、仕切価格も逆転する。それだけ元売も冬場の灯油販売には、マージン増の期待をかけている。上期の業績不振を挽回する材料は、下期の灯油販売にかかっており、増販による利益増加を見込んでいる。
同様に寒冷地のSS業者は、冬場の灯油販売の利益で一息つくことになり、灯油の増販と市況対策が重要となる。過去においては、SSでも灯油をガソリンの増販に結びつけるための目玉商品として扱い、安値で販売していたが、最近では安値販売が消え、灯油を利益確保の柱として位置づけて適正価格で販売している。HC、量販店などの安値販売も散見するが、灯油は配達のウェイトも高く、市況は維持されている。ただ、市況商品であり、天候に大きく影響を受けるため、冷え込みが遅れ暖冬になると需給バランスが崩れ、市況は急落する。冬場限定の商品であり、思惑も絡むため、商機をつかむと利益を確保できるが、逆に予測が外れると大損することになる。
しかし、一般のSS業者は、思惑にとらわれず自然体で商戦に臨めば利益は確保できる状況にある。問題は週決めの仕切価格の変動で大幅な値上がりに対しての転嫁が難航するケースもある。また、ローリー納入の掛売は、1ヵ月間での変動分の値取りができるよう事前にルールを決めて対応するなど商取引きの改善が求められている。