日刊ニュース

2013.10.23 のニュース

業転との価格差は拡大傾向-調整局面でも実勢は逆の方向に-

 ガソリンの仕切価格と業転価格との価格差が拡大している。12日から仕切価格は3円30銭~4円/リットルの値上げとなったが、業転の値上がりが遅れているためである。その結果、末端市況も系列SSは値上がりしているが、HCなどの値上がりが遅れており、ユーザー転嫁にもバラツキが生じている。現在、価格差問題が元売と販売業界で調整段階にあるが、一時的であるものの拡大傾向となってきた。
 今回の仕切価格の値上げを受けて、販売業者は即ユーザー転嫁に取り組み、5~6円の値上げが実施されている。だが、19日からは仕切価格が据え置きとなったことから、一部では値下がりとなるケースも出ており、今後の市況対策が注目されているが、目標となる160円相場づくりは苦戦となりそうである。
 石油情報センターの調査価格は、連休明けの15日(火)では、全国平均で159円60銭/リットルと前週に比べると60銭の小幅値上がりとなっており、5週ぶりの値上がりでユーザー転嫁は始動している。だが、仕切価格の値上げは12日(土)からとなったため、本格的な転嫁はこれからで、次回の調査(21日)では値上がりが見込まれている。ただ、19日からの仕切価格が据え置きとなったため、ユーザー転嫁の取組みが弱まることも予想され、一部で値下がり現象も出ており流動的となってきた。
 また、折から元売と販売業界で問題となっている業転と仕切価格の価格差は調整段階となっているが、その価格差が拡大しつつあるため厳しい状況となりそうである。市況は、常に変動しているため、一時的な局面で議論すべきではないが、仕切価格の大幅な値上げとなれば業転、先物市況とは乖離する。そのため安定した時点でないと価格差問題は実効性を欠くことになる。
 価格差是正の解決策としてブランド料の1円/リットル引き下げで対応することになっているが、今回のように3~4円の大幅値上げとなると、ブランド料の引き下げ分は、仕切値上げ分に吸収されて不透明となる。販売業者からは「ブランド料の引き下げが実施されても仕切価格の値上げで相殺されることになり、本当に引き下げとなったのか実感できない」、「仕切価格の中にブランド料の引き下げが盛り込まれ、原価ではコスト減となっても仕切価格が3~4円の値上げとなると実感として確認することは難しい」との意見が出ている。
 仕切価格の改定は、原油価格、為替の変動、先行き見通し、業転と各社の動きなど総合的な判断から打ち出される。以前は原油、為替のコスト変動、業転などを参考にしていたが、最近では総合的な判断を加味しているため販売業者の思惑と違った値動きとなる。市場連動制といっても元売の思惑で上げ下げが決まり、事実、12日からの仕切価格の値上げは予想外であったため、販売業者は戸惑いをみせている。業転を値上げした後で仕切価格を値上げすることになれば販売業者も納得するが、業転の値上げには時間もかかるのと、
その間に需給が緩むと値上げ不発に終わるケースが多く、元売がコストを回収できずに不利なる。
 そのため仕切価格の値上げを先行させ、同時に業転を値上げする方針で臨むことになったが、思惑通りとなっていないようである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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