日刊ニュース

2013.10.28 のニュース

業転問題はエネ庁通達で収拾-増税反対決起大会前には決着を-

 業転問題は、木村・JX日鉱日石エネルギー会長が「この問題は各社間の問題であるが、先のエネ庁通達を受け入れることになる」と述べていることから決着の方向となってきた。公取委の「一定のルールを策定すべきである」との報告をうけて、エネ庁通達では①特約店が業転を取り扱った場合でも直ちに取引を停止しない、②取引の透明性の確保のために流通経路証明を添付する、この2点の実施策を今年中に検討するとしているもので、現在、元売からヒアリングを行なっている。各社の対応が注目されるが、JXが受け入れることになったため収拾の方向となってきた。
 今後のスケジュールとしては、11月13日に全石連の理事会と自民党・石油流通問題議連との会合が予定されており、ここでエネ庁から元売の対応策が報告される。また、翌日の14日は石連との共同で、石油増税反対決起大会がキャピトル東急で開催されるため、この決起大会の開催前には、業転問題で一応の決着を得ることが落し所とみられている。
 ここで決着を得られずに、全石連と石連が対立したまま決起大会を開催することは心情的に難しい。業転問題と増税問題とは別であるとの意見もあるが、業転問題には決着をつけて、しこりを解消した後で増税反対運動に取り組むほうが石油業界の結束を訴える効果が発揮できる。
 そのため元売も、エネ庁通達を受け入れることで収拾を図る方向となってきたようである。一方、全石連サイドでは、業転と系列仕切との価格の縮小を要請しており、その担保を求めているが、その回答の一つとしてJXはブランド料1円の引き下げを実施しており、他社の対応が注目されている。
 業転と系列仕切の価格差の縮小となると、業転を値上げして仕切価格を引き下げることになるが、市況は常に変動しており、加えて仕切価格の改定は週決めで実施されているため、実態を把握するには時間もかかる。また、販売業者が納得する価格差と元売の価格差との間には大きな差もある。エネ庁の通達での調整と元売の対応をみて、販売業者が納得するのか否かは、全石連・理事長会の議論の結果に委ねられる。
 公取委の報告書では価格差は5円程度となっている。ブランド料が4円となっており、これを1~2円引き下げるべきとの意見もあり、今回のJXの1円の引き下げでは少ないとの不満が残っている。元売によってはブランド料というコストを設定していないところもあり、一律でなく、各社間のバラツキがある。最終的には個別企業の判断となるため調整は難しく、簡単には結論が出ず先送りとなる。
 価格差問題となると市況実態が伴なうものだが、足元では業転と仕切価格との価格差は拡大している。先の10月12日からガソリンの仕切価格を3円40銭~4円/リットルの値上げを実施しており、これに比べて業転の値上がりが遅れている。この値上げは、これまでの原油価格の上昇によるコスト増分を取り戻すための値戻し値上げとなるが、不透明なところもあり販売業者からも反発が出た。それでも大幅な値上げとなったため販売業者はユーザー転嫁に取り組み、末端市況は値上がりしたが、その後は小幅な値下がり状況にある。

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